この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
17歳の寄り道
第38章 【千晴編】スタートライン
「私も今日お惣菜買いました。美味しかったです」
「そうなの!嬉しい。じゃあ、もう食べ飽きてる?」
「いえ、いただきます」

茄子の煮浸しをぱくりと食べると、優しい味がして、女将さんの出す料理に少し似ていた。

「おいしいです。優しい味で……」
「ありがとう。それ、息子の味付けなの」

女将さんはそれは嬉しそうに微笑んだ。

「それにしても、哲先生もすみに置けないね。ああ見えて、突然こんな可愛い子連れて来るんだもん。びっくりしたわよ」

「え……」

箸を置き、女将さんに視線を遣ると、ふふふと笑っている。

「つきあってるんでしょう。わかるよ、見ていたら」

いつもと違う装いで、女将さんは微笑む。
こうして見ていると、うちのママよりは年下なのかもしれない。

「離婚する前も、した後もずーっと女っ気なかったから、ずっと一人でいるのかなと思ってたけど、あなたの事好きでしょうがないのね」

こんな風に先生の話を聞かされるとは思わず、口ごもった。

「……だから、捨てないでやってね。振られたら哲先生立ち直れないわよ」

「それは……逆です。先生は、私が去っても追いかけてこない……」

私の反論に、女将さんは深みのある眼差しを向けて笑う。

「この年になるとね、いろんなもの背負ってるから、何もかもかなぐり捨てて追いかけられないのよ。ましてやあの性格なんだから。追いかけられなくても、ずっと待ってるよ。あなたを」

………。

涙が膝に落ち、女将さんは新しいおしぼりをくれた。

「す、すみません……」
「いいのよ。泣いても。誰も咎めやしないわ」

女将さんは、私の背中を擦り、笑った。

カウンターの向こうの棚の上にいつも飾ってあるトロフィーを眺める。
あれも息子さんのものなのかな…。

涙が止み、おしぼりを握りしめていたら、女将さんはお箸を置いて冷茶を注いでくれた。
/452ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ