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17歳の寄り道
第38章 【千晴編】スタートライン
「うちの子が高校生の時にね、哲先生には本当にお世話になったの。人様に顔向けできないようなことばかりしてね。…結局高校は中退したんだけど、先生はその後も様子を見に来てくれたりして。うちの店と哲先生のご実家が近かったから、よく食べに来てくれたの。あの子の様子も気に掛けてくれてね」
私の知らない、先生の話。
女将さんは尚も話を続ける。
「うちに来られる時はいつも一人よ。先生があのマンションに越してきてからは、ほとんど毎日通ってくれてて。まあ、あのとおり自炊しない人だし、うちでお夕飯済ます感覚だったんだろうけどね……」
少し沈黙になり、女将さんは私に向き合った。
「――だからね。誰か支えてあげてほしいなって思ってたの。いろいろあると思うけど、あたしは応援してる」
女将さんの想いが痛いほど伝わってきて、喉の奥が熱い。
「おばさんの願いが重荷になったらごめんね」と謝られ、横に首を振ったら、安堵した表情で笑い返してくれた。
「それにしても哲先生ってば、こんな可愛い子泣かして、何やってるんだろうね~!お説教したい気分だわ!」
「ふふっ…」
誰かに、先生といることを認められて、こうやって励まされるなんて、思いもしなかった。
女将さんの励ましが不安を取り去っていく。
「また煮詰まったらおいで。二人で来てもいいし、一人で来てもいいし。でもその前に、ちゃんと話しなさいね。哲先生にも。わかってほしい人たちにも。泣くのは、それからでいいのよ」
ポン、と背中を押されて、心に新しい希望が灯る。
「ありがとうございました。また、来ます」
女将さんにお礼を言って、のれんをくぐり外へ出た。
軒下から、星が広がる夜空を見上げていたら、惣菜屋のシャッターを閉めている男の人がいた。
私が小料理屋から出てきたと気づいたその人は「ありがとうございます」と言う。
私の知らない、先生の話。
女将さんは尚も話を続ける。
「うちに来られる時はいつも一人よ。先生があのマンションに越してきてからは、ほとんど毎日通ってくれてて。まあ、あのとおり自炊しない人だし、うちでお夕飯済ます感覚だったんだろうけどね……」
少し沈黙になり、女将さんは私に向き合った。
「――だからね。誰か支えてあげてほしいなって思ってたの。いろいろあると思うけど、あたしは応援してる」
女将さんの想いが痛いほど伝わってきて、喉の奥が熱い。
「おばさんの願いが重荷になったらごめんね」と謝られ、横に首を振ったら、安堵した表情で笑い返してくれた。
「それにしても哲先生ってば、こんな可愛い子泣かして、何やってるんだろうね~!お説教したい気分だわ!」
「ふふっ…」
誰かに、先生といることを認められて、こうやって励まされるなんて、思いもしなかった。
女将さんの励ましが不安を取り去っていく。
「また煮詰まったらおいで。二人で来てもいいし、一人で来てもいいし。でもその前に、ちゃんと話しなさいね。哲先生にも。わかってほしい人たちにも。泣くのは、それからでいいのよ」
ポン、と背中を押されて、心に新しい希望が灯る。
「ありがとうございました。また、来ます」
女将さんにお礼を言って、のれんをくぐり外へ出た。
軒下から、星が広がる夜空を見上げていたら、惣菜屋のシャッターを閉めている男の人がいた。
私が小料理屋から出てきたと気づいたその人は「ありがとうございます」と言う。