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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
セックスが終わると、ぐったりと動けなくなった。

あー。だるい。
ずっとごろごろしていたくなる、倦怠感。

「やっぱり疲れてるんじゃないのか」
「……そうでしょうか?」
「俺には、そう見えるけどな……」

あぐらをかいて後始末中の先生の膝を枕にしようとしたら、「ちょっと待て」と遮られた。
後始末は見られたくないらしい。

「……腹減ったな。先に飯食わないか」

「私、食欲なくて。近所にあんなにおいしいお惣菜屋さんができてよかったですね~。でも、私もがんばりますから。お料理」

「……期待せずに待ってるよ」

料理に期待はされていないようだが、甘くとろける先生との時間。

かつて、先生の言動に翻弄されて、拒絶されて、それでも縋りついて――それが普通だったのに。

好きな人が、自分といることを望んでいてくれるなんて、本当に夢のようだ。

「哲さん!お取り分けぐらいはさせてください!」

先生を座らせて、お皿とグラスを用意して、おままごとの新婚さんの様にお世話をして、先生の向かいに満面の笑みで座る。

「ありがとう。いただきます」

お行儀よく両手を合わせる先生。

はあ……幸せすぎる。
いいのかな、こんなに幸せで……。

目頭を熱くしていると、先生はぎょっとしていた。

「……どうしたんだ?」
「幸せすぎてヤバいです……」
「…………」

私の感極まり具合に、先生も呆れを通り越して失笑…といった様子だ。

「……幸せは幸せかもしれんが、情緒不安定じゃないか?」
「そんなことないですよ!幸せを心から噛み締めてるんです」
「それならいいけど……」

長年の夢が叶ったんだもん。
少しぐらい浸ってても、神様は許してくれるよ。

やっぱり、私の幸せはこれしかない。
先生のお嫁さんになること。
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