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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
その日から、私の薬指には細いリングが光っている。
ずっと眺めていても飽きない。

先生の家に転がり込むにも、もう少し祝福ムードになってから実現したい…という考えが一致し、まだ半同棲のような状況が続いた。


そして、二学期が始まってまもなくのこと。
就業時間中、珍しい人物から着信が入り、帰宅中に折り返した。

「お兄ちゃん?どうしたの?……あっ、もしかしてママから連絡あった?」

『いや?連絡はないけど。来週、ちょっと用があって帰るから。ウチに千晴いるのかな~と思ってさ』

先生のこと、母から探り入れられてるかと思ったのに、違うんだ。

「……ちょっと、私、お兄ちゃんにお願いがあるんだけど……!」

先生のこと、いい感じに情報吹きこんでほしいんだけど……!
と言おうとしたら。

『お、何だよ!俺も話あるんだよ!』

私から見て、世渡り上手……もしくは、ちゃっかり者の兄、博貴。
私より8歳年上の33歳。独身。

彼女はいるのだかいないのだか知らないが、成績は昔からよくて、有名企業に入って現在は東京在住。
家には全く帰ってこない、そんな兄が。

「彼女!?今度つれてくるの!?」

『そう。だから、千晴も家いてくんない?父さんと母さんだけじゃ、彩も緊張するだろうしー』

兄の彼女、彩さん。歳は私と同じらしい。
彼女かあ……!お兄ちゃんが彼女連れてくるのって初めてだな!

『で、千晴の用件は何?』

う、うーん。なんか言えない。

「私の話はもういいや!それより、彩ちゃんに会えるの楽しみにしてる」

『おー。彩も千晴に会うの楽しみだって。俺と8歳も違うから、周りからはロリコン扱いだよ』

そんな事言ったら、私と先生……いや、先生はどうなる。
超ロリコンになってしまうじゃないか。

「年齢なんて関係ないよ!愛があれば」

『千晴、いいこと言うな!』

兄は、わっはっはと明るい感じで電話を切り終えた。
一応、エリートの部類であるはずだけど、相変わらずの明るさだった。
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