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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
「ん……痛い……」

先生の家のベッドの上で、先生が、胸の先から唇を離す。
最近、あまり気持ちいいと思わない。
くっついているのは幸せだけど。

「……無理するな」

先生は私をそっと抱き寄せて、逞しい腕の中に私を収める。



生理が来ない。
ついに予定日から一週間経ってしまって、そろそろ9月も終わりそうだ。

さすがに、自分の異変には気付き始めていた。
もしかしたら先生も気付いていたのかもしれない。
セックスを強要することはしないし、「俺も歳だから」と切り上げることも増えていて。

食欲はあっても吐き気はなくて――。
夏からずっと体調がすぐれないのも、慣れてきていた。


「哲さん。生理が来ません……」

ベッドの上で座り、お腹に手を当てて先生を見つめる。
先生も体を起こして向かい合い、私の左手を取って、「うん……」と言った。



その後、ドラッグストアまで車を走らせてくれて、検査薬を買った。
先生の家でドキドキしながら試したら、みるみるうちに線が出た。


陽性だ。


先生と私の赤ちゃんが……お腹にいる。


喜んで先生に伝えると、思った反応は返って来なかった。
先生の表情は硬い。

「病院に行かないと、確定にはならんぞ」

「そうですけど、ちょっとぐらい喜んでくれたって……」

先生は、私ほど喜んでいないのはわかった。
自分の仕事もあるし、私の両親にまた話をしないといけないし、結婚と順番が逆になったことも、私の仕事のことも心配していた。

「千晴。誤解しないでくれ。嬉しくないわけじゃない」
と、先生は言うけれど。

そもそも、私が仕向けたことだから、先生が心配そうにしていると、申し訳なくなって居たたまれなくなってしまう。

「ごめんなさい……。私が、あの時……あんなことしなければ」

確定はしていなくても、もうお腹の中には命がある。
それを、残念なことだと思いたくはないのに。

「謝るな。……大丈夫だから。」

泣きたくなくても、勝手に涙が出てしまって、先生のその顔を見ていたら、勝手に謝ってしまう。

私の考えが甘かったせいだ。
全部、私のせいだ。
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