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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
「千晴も悪いのはわかりきってるわ。ママは、あなたじゃなくて赤ちゃんを守りたいからこれ以上言わないだけよ。それに、パパにああやって責められたからって、千晴に何か言ってくるような人ならやめることね」
「…………」
たぶん、先生はこの後、私には何も言わない気がする。
私に、父の事を悪く言ったりはきっとしない。
涙をこぼしていると、母が溜息をつく。
「……パパが、男として哲さんを許せない気持ちは何となくでもわかるでしょう?……それに、ママが反対してた時、パパはずっと千晴を庇ってたんだからね。それは忘れちゃダメよ」
「うん……」
あのパパが、あれだけ怒り狂う姿を初めて見た。
いつも、千晴、千晴と可愛がってくれて。
いつも、「パパは千晴の味方だから」って、言ってくれていたのに。
「……ごめんなさい……」
「もう、泣きやみなさい。千晴が泣いても誰も喜ばないわ。赤ちゃんも苦しいだけだし、哲さんだって悲しいでしょう」
ぐしゅ…と鼻を鳴らす私に、母はティーカップを置きながら言う。
「もっと強くなりなさい。結婚して母になって、誰にも文句言わせないぐらい、幸せになりなさい」
母らしいクールな言い方だったけれど、心の奥深くに突き刺さり、揺さぶられた。
ハーブティを飲み終えてしばらく経った頃。
母は「そろそろ帰ろうか」と言った。
「おかえり……」
家に帰ると、父と先生が少し気まずそうに出迎えてくれた。
先生、父に殴られてはない……か。
細身で小柄な父が、先生に向かって殴ろうとは思わないよね。
ガタイがよすぎるし。
「では……本日は失礼します。お父さん。ありがとうございました」
先生が深々とお辞儀をし、父もぺこぺこと頭を下げた。
父の方がいくつか年上だけど、腰の低い父。
何の話したんだろう。
この様子だと、和解したように見えるけど…。
先生がどう思ったか気になったけど、父の、父としての想いも十分感じた。
「…………」
たぶん、先生はこの後、私には何も言わない気がする。
私に、父の事を悪く言ったりはきっとしない。
涙をこぼしていると、母が溜息をつく。
「……パパが、男として哲さんを許せない気持ちは何となくでもわかるでしょう?……それに、ママが反対してた時、パパはずっと千晴を庇ってたんだからね。それは忘れちゃダメよ」
「うん……」
あのパパが、あれだけ怒り狂う姿を初めて見た。
いつも、千晴、千晴と可愛がってくれて。
いつも、「パパは千晴の味方だから」って、言ってくれていたのに。
「……ごめんなさい……」
「もう、泣きやみなさい。千晴が泣いても誰も喜ばないわ。赤ちゃんも苦しいだけだし、哲さんだって悲しいでしょう」
ぐしゅ…と鼻を鳴らす私に、母はティーカップを置きながら言う。
「もっと強くなりなさい。結婚して母になって、誰にも文句言わせないぐらい、幸せになりなさい」
母らしいクールな言い方だったけれど、心の奥深くに突き刺さり、揺さぶられた。
ハーブティを飲み終えてしばらく経った頃。
母は「そろそろ帰ろうか」と言った。
「おかえり……」
家に帰ると、父と先生が少し気まずそうに出迎えてくれた。
先生、父に殴られてはない……か。
細身で小柄な父が、先生に向かって殴ろうとは思わないよね。
ガタイがよすぎるし。
「では……本日は失礼します。お父さん。ありがとうございました」
先生が深々とお辞儀をし、父もぺこぺこと頭を下げた。
父の方がいくつか年上だけど、腰の低い父。
何の話したんだろう。
この様子だと、和解したように見えるけど…。
先生がどう思ったか気になったけど、父の、父としての想いも十分感じた。