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17歳の寄り道
第39章 【千晴編】夢のはじまり
「マジでショックだわぁ……いろんな意味で」
「まだ言いますか……」
2月末の最後の出勤は倉谷先生と同じバスだった。
その前日、先生が出張だったからだ。
「教師と元教え子で、偶然再会して結婚なんて、どんだけロマンチックなんだよ。俺も女子のいる学校に勤めりゃよかったよ!」
噂は回るもので、この頃には倉谷先生にも、吉川先生経由で馴れ初めを知られていた。
優先座席に私を座らせ、前に立ってぼやき続けている。
「倉谷先生は絶対紅葉のままでいいと思いますよ」
「出会いがねえんだよ…!」
何だか不憫になってきて、大きなお腹でつい「誰か紹介しましょうか?」と言ってしまう始末。
「マジ!?紹介して!かわいい子!」
「出産して落ち着いてからでいいですか」
「くそ……!いつだよ!」
こんな掛け合いも終わりかと思うと少しだけ寂しい。
週数が進むごとに校内を駆け回ることはなくなった。
自由に動けない分、庶務の効率化をいくつか考えたら採用してもらえて、ちょっとだけこの職場に貢献できたような気がしている。
「須賀ちゃん!1年たらずだったけど、ありがとう!ベビちゃんが育ったらまた戻ってきてね!」
と、有馬さん。
心なしか目は潤んでいる。感激屋な有馬さんらしい。
「藤田さん、またお茶しようね!元気なお子さん産んでね!」
とは、飯島さん。
二人いた育休メンバーのうち、一人は事情で退職になってしまったそうだが、先に復帰を果たした飯島さんは家が近く、地域の子育て環境事情を知る、ありがたい存在だった。
夏にできたお惣菜屋さんがおいしいという話で意気投合したのがきっかけで、一気に仲良くなった。
体調のこともあり、送別会はなくしてもらった。
最後は挨拶をして、花束をもらって。
帰りは、フェンスの外から放課後のサッカー部を見て、最後の光景を目に焼き付ける。
「遅いんだよタイミングが!!」
「ハイ!」
扱いてるな〜と苦笑いして見ていると、先生が私に気づいた。
あ、やばい。
校内では接触しちゃいけないんだったのに、見つめてるのバレちゃった。
と思っていたら、先生が掛け寄ってきた。
「まだ言いますか……」
2月末の最後の出勤は倉谷先生と同じバスだった。
その前日、先生が出張だったからだ。
「教師と元教え子で、偶然再会して結婚なんて、どんだけロマンチックなんだよ。俺も女子のいる学校に勤めりゃよかったよ!」
噂は回るもので、この頃には倉谷先生にも、吉川先生経由で馴れ初めを知られていた。
優先座席に私を座らせ、前に立ってぼやき続けている。
「倉谷先生は絶対紅葉のままでいいと思いますよ」
「出会いがねえんだよ…!」
何だか不憫になってきて、大きなお腹でつい「誰か紹介しましょうか?」と言ってしまう始末。
「マジ!?紹介して!かわいい子!」
「出産して落ち着いてからでいいですか」
「くそ……!いつだよ!」
こんな掛け合いも終わりかと思うと少しだけ寂しい。
週数が進むごとに校内を駆け回ることはなくなった。
自由に動けない分、庶務の効率化をいくつか考えたら採用してもらえて、ちょっとだけこの職場に貢献できたような気がしている。
「須賀ちゃん!1年たらずだったけど、ありがとう!ベビちゃんが育ったらまた戻ってきてね!」
と、有馬さん。
心なしか目は潤んでいる。感激屋な有馬さんらしい。
「藤田さん、またお茶しようね!元気なお子さん産んでね!」
とは、飯島さん。
二人いた育休メンバーのうち、一人は事情で退職になってしまったそうだが、先に復帰を果たした飯島さんは家が近く、地域の子育て環境事情を知る、ありがたい存在だった。
夏にできたお惣菜屋さんがおいしいという話で意気投合したのがきっかけで、一気に仲良くなった。
体調のこともあり、送別会はなくしてもらった。
最後は挨拶をして、花束をもらって。
帰りは、フェンスの外から放課後のサッカー部を見て、最後の光景を目に焼き付ける。
「遅いんだよタイミングが!!」
「ハイ!」
扱いてるな〜と苦笑いして見ていると、先生が私に気づいた。
あ、やばい。
校内では接触しちゃいけないんだったのに、見つめてるのバレちゃった。
と思っていたら、先生が掛け寄ってきた。