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17歳の寄り道
第42章 【東野編】グロウアップ
閉店の音楽が鳴り出し、マネージャーが駆け寄って来る。

「東野くーん!今日はありがとうねぇ!もうここはいいから、本社戻って~。ごめんね、長くなって!」

「あ、いえ。成功して良かったですね」

マネージャーは、浅野チーフほど俺に対して辛辣ではない。むしろ優しすぎる面もあり、俺は助かるが。
お言葉に甘えて、東京に戻ることにした。

「そうそう、東野君。来月から、本社で浅野のこと宜しくね。こう見えて打たれ弱いからね」

「……そうなんですか?」

マネージャーの言葉に、疑いの眼でチーフを見ると、「失礼ね」と睨まれてしまった。

「では、本社に戻ります。お疲れ様でした」


この駅には、先月同窓会で来た以来だから、そんなに懐かしさはないのだが。

新幹線に乗り、ノートパソコンを開けて、残していた仕事のチェックをする。

東京に戻ったら接待だ。
華やかな世界だが、体力のある俺ですらきついと思う時はある。

でも、俺だって上は目指している。
いつかプレスになって、会社の顔になって活動がしたい。
それには、営業活動を頑張って、人脈広げて、接待も参加して、顔を売って……。

「耳の痛い話もちゃんと聞いて……だな。何で知ってるんだ、チーフは……」

浅野チーフに、俺の最もダメな部分を見抜かれたような気がして落ち着かない。
自分に都合の悪い話は、右から左へ受け流す癖がある。
古くは、藤田コーチの説教もわりと受け流してきた。


――マネージャーが、浅野チーフのこと打たれ弱いって言ってたな。今のところ、全くそうは見えないのだが。

現在の本社教育課メンバーは、6名。
酸いも甘いも噛み分けてきたような、そうそうたるメンバーがいて、上の方になるとレジェンド扱いだ。
あの中でやるんだからキツいだろうな~……。

って、チーフの心配はいらねえな。
俺は俺の心配をしていよう。

東京に着くと、もう酒宴は始まっていると連絡があり、ジャケットを肩にひっかけ、急いで現地に向かった。
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