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17歳の寄り道
第42章 【東野編】グロウアップ
ラテもすぐ冷めてしまい、すべて飲み終えて店を出る。
ついでに酔いも醒めた。

別に酒の勢いで誘ったわけじゃない。
ただ、チーフが常に俺にバリアを張っているような気はしている。
嫌われてるとは思わないが、何かに警戒してるような、そんな気がした。

俺に気があるのかどうかは、まだ確信が持てない……。

「浅野さんの家、どっちすか」
「え?」
「送ります」
「…ここ渡って、右に……」

横断歩道で立ち止まり彼女を見ると、深く俯かれてしまった。

「俺と飲みに行くのは、何で嫌なの?」

タメ口で尋ねたら、チーフはすぐに顔を上げた。

「……なんか。悔しいから」

悔しい?何がだ?
意味がわからん。

「東野さんは、誰にでも優しいし……」
「?仕事ですからね」
「違うよ……」

よくわからないまま信号が青に変わった。


一か八か。
華奢な手を握って、ぐっと引き寄せた。


「きゃ…」

よろめいたチーフが、俺の腕にぶつかる。

「な、何ですか、もう」

困惑する彼女が愛おしくて、気がつけば手を繋いだまま「つきあって」と口にしていた。

しかし、返事は……。

「や、やだ……」
と顔を伏せてしまった。

しかし諦めず「何で?」と問う。
我ながらしつこいが、簡単には諦められない。

すると、チーフは困り果てたように口元を押さえながら答えた。

「すごく好きになっちゃいそうで。ヤキモチ焼いたり、周りが見えなくなっちゃいそうでいやなの」

え?
すごく好きになるなんて、むしろいいことじゃないのか?

「それに、東野さんは清楚なのが好きなんでしょ。私、全然違うし、もう恋愛するのが怖いし…」

泣きそうになりながら言い訳をしている彼女を、堪らず抱きしめた。
過去に何かあったのかもしれないが、過去のひとつやふたつ受け止めてやる。

「清楚とかどうでもいいんだよ。何でもいいから、チーフの力になりたいって思ってる」

道路脇の一角で、好きな女に必死に愛を伝える。

「ちょっとでも俺のこと好きなら、つきあって。絶対、大事にするから」

俺の背中に回していた彼女の手に、ぎゅっと力がこもった。
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