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17歳の寄り道
第42章 【東野編】グロウアップ
完全に火がついてしまった。
抱きしめるだけじゃ足らない。

「…うち来る?」と聞いたら、彼女は小さな声で答えた。

「…私の家の方が近い、けど…」

家にあげてくれるのか?
二人きりになれたら何でもいい。

「でも、変なことしないでよ」
「変なことって何?」
「私、軽い女じゃないんだからね」

さっきは本音を見せてくれた気がするのに、いつものチーフに戻った。
ふっと笑うと「何がおかしいの!?」と怒られてしまった。

「わかってるよ。仕事の姿勢見てたら、何にでも真剣に取り組むんだろうなと思うよ」

「…………」

黙ってしまった彼女の手を握り、歩道を進む。

変なことって、キスはしていいのかな。
……俺、我慢できるのかな。
もう相当好きなんだけど、ちゃんと彼女に伝わってる?


マンションにつき、鍵を開ける彼女の手を見ていた。
綺麗な指先に見とれ、ガチャとドアが開く。

「……どうぞ。」

「お邪魔します」

ワンルームの彼女の部屋は、彼女らしい、整頓された部屋だった。
チェストの一角には、コスメやネイル、香水が置かれていて、シンプルなベッドと白い二人掛けソファがある。

写真も飾ってあるが、この場所からじゃ見えなかった。

「東野さん、くつろげないよね、スーツじゃ…」
「あ、いいよ別に」

ネクタイを外してジャケットを脱げば、まあまあマシだ。

……つうか、俺はここまで何をしに来たんだ?

明るい照明に照らされたら、さっきのちょいムラ気分も失せてしまって、気恥ずかしい。

「チーフは着替えてくださいね」

ついには敬語に戻ってしまった。
声をかけ、小さなソファに腰を下ろす。
目の前にある、白いシンプルなベッドが目に入り、ここで寝る彼女の姿を妄想してしまった。
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