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17歳の寄り道
第42章 【東野編】グロウアップ
「知り合いの友達に、リョウチンって子がいて、なんとなく耳に残ってたの」
と、結愛が屈託なく笑う。
知り合い……男なのか?友達か?

「へえ……。まぁ珍しくもないけどね。りょうって付く名前なんて」


そう答え、その後は俺もシャワーを借りたが、結局何もしなかった。
俺の腕枕で、安心したように眠る彼女を見ているだけで、満足だった。

明日……起きたら、スーツ替えに家に戻らなきゃな。
結愛に、早速一緒に住みたいっつったら、引くかな。
起きたら言ってみよう。なんて答えるのか考えたら楽しみになってきた。
下手したら怒られるかもしんないけど、結愛の怒ってる顔は結構好きだ。
俺はMなのか?

細くしなやかな髪を撫で、顎の近くで指を組みながら寝息を立てている彼女。

「指細ぇな……」
手入れのされた白く細い指を見ながら、俺も眠りについた。


……が、すぐにアラームが鳴る。
夜遅くまで話していたから、仕方ねぇんだけど。

「ん……」
「おはよ」
「……東野さん……」

全然名前で呼んでくれてないが、まどろむ彼女は超絶可愛い。

「温かくてすごく眠れた。東京に来て寝付けない日が多かったから……」
「そっか。……よかった」

名残惜しいが、一旦家に戻らないと。
結愛から離れ、彼女の細く色素の薄い髪を撫で、立ち上がろうとしたら、後ろから腰をぎゅっと抱きしめられた。

「涼太君……」
「……うん?」

巻き付かれて立ち上がれず、ベッドに腰掛ける。……名前で呼んでくれている。
結愛は俺の背中にくっついて、小さい声で囁いた。

「私、涼太君と一緒に住みたいな……」

な……!
なんだこの神展開は!

「俺から言おうと思ってたのにっ……!」
「……そうなの?」
「うん」

ああ。これほどまでに、誰かを愛しいと思ったことあったっけ?

じっと俺を見る結愛を、堪らない思いで抱きしめた。
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