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17歳の寄り道
第4章 【碧編】彷徨うココロ
「具合は大丈夫です。今…何時ですか?」 
「18時だよ。今日は車で送るから、自転車は置いて帰りなさい。明日は朝から歩いて登校しなさい。いいな」

え~っ、と反論しそうになったが、これだけ迷惑かけておいて言えない。
東野君は村上先生を呼んだ後、今は部活に戻っているらしい。

「つうか、俺もさっさと帰りたいんだよね。白川送るのに便乗して帰れる」

先生の違った思惑が見えて苦笑した。ちゃっかりしてるなぁ。
果たして、私は先生の車に乗って帰ることになった。


暗くなった駐車場まで村上先生と歩いた。
白衣を脱いだ先生が、助手席に座るように指をさした。

「おじゃまします…」

先生のプライベートの空間に入るのは、やっぱりちょっと緊張する。それに、運転席と助手席の間は、わりと近いんだな。

「白川んちはー…。どこだっけ。ナビ入れていい?住所言って」

行き先を設定する先生に近づいて、一緒に小さな画面を見て、住所を告げる。先生は復唱しながらきれいな指を動かして入力していった。

ふわっと先生の匂い、家の匂いがして、ズクンと胸が疼く。
暗いのもまた、どこか本能的な気分を煽った。

しかし、いくら私がムラムラとしても、先生は立場もあるし大人の男。私のことなど、歯牙にもかけないのは目に見えている。

「あー、確かに歩いたら遠いかな…」
「先生、担任なのに住所覚えてないの?」
「すっげ遠い奴なら覚えてる。東野とか」

東野君、遠いんだ。なのに毎日部活して偉いなぁ…
先生の隣はすごく居心地がよくて、以前感じた安心感は継続中。
へたすると眠ってしまいそうなほど、瞼を閉じると夢の中に引き込まれそう。

「すぐ着くよ。寝ないでね」
「はい…」

車だと家なんてすぐだ。部屋に掛け込めば、義父と会わないで済むかな…

考えていると不安が募り、息が苦しくなってきた。息を吸っても苦しい。

「先生、…苦しい……」

息苦しさに、喘ぐように伝えたら、村上先生はコンビニに車を停めた。
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