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17歳の寄り道
第4章 【碧編】彷徨うココロ
体育館裏から校舎に戻り、上靴に履き替える。
雨に濡れた足を上げてハンドタオルで拭いていたら、村上先生が通りかかった。
「何て格好してるんだ」
目も当てられないと言う口振りで、私の足を下ろさせる。
不機嫌な表情は益々苦々しい顔へと変わる。
「……、その臭いは何ですか」
先生は、煙草の臭いを指摘した。
「私は吸ってないよ、近くで吸ってる人がいたから…」
「お義父さん?」
先生からすぐに義父の名前が出て驚いた。
昨日の話を、私のプライベートを、先生が気に掛けていてくれている。
私を、本当の意味で心配してくれている大人の人は、村上先生だけかもしれない。
「お義父さんじゃないよ。昨日は大丈夫だったから…」
「…そうですか。体調は?」
「もう元気だよ」
と微笑んだら、先生はフッと苦笑した。
「観測会の承諾書はもらえた?」
「お母さんに書いてもらえました」
鞄から用紙を出し、村上先生に渡した。…わざと、指に触れるようにして。小娘の拙い愛情表現だ。
村上先生は、昨日のような困惑は見せず、「確かに受け取りました」と言った。
大人の男の人は、簡単には表情を崩さない。
「また遅刻になりますよ。急いで」
時計を確認すると、休み時間ももう終わりそうで、走って教室に向かった。
私の席には、東野君がいた。男子数人で固まって、楽しげに話している。
「おはよ、東野君」
「あ、おはよ!体調、戻ったの?」
「うん。昨日はありがとう。先生呼んできてくれて…」
「元気ならよかった。ちょー心配したよ」
東野君としゃべっていた男子たちが、意味ありげに私と東野君から離れていく。
「ごめん。私、邪魔しちゃったね」
「ううん、そんなことないよ。あいつら、いらねー気利かせてんだよ…」
キラキラした瞳を私に向けて、照れたように笑う東野君。
本当の私を知っても、そんな表情を見せてくれるのかな。
雨に濡れた足を上げてハンドタオルで拭いていたら、村上先生が通りかかった。
「何て格好してるんだ」
目も当てられないと言う口振りで、私の足を下ろさせる。
不機嫌な表情は益々苦々しい顔へと変わる。
「……、その臭いは何ですか」
先生は、煙草の臭いを指摘した。
「私は吸ってないよ、近くで吸ってる人がいたから…」
「お義父さん?」
先生からすぐに義父の名前が出て驚いた。
昨日の話を、私のプライベートを、先生が気に掛けていてくれている。
私を、本当の意味で心配してくれている大人の人は、村上先生だけかもしれない。
「お義父さんじゃないよ。昨日は大丈夫だったから…」
「…そうですか。体調は?」
「もう元気だよ」
と微笑んだら、先生はフッと苦笑した。
「観測会の承諾書はもらえた?」
「お母さんに書いてもらえました」
鞄から用紙を出し、村上先生に渡した。…わざと、指に触れるようにして。小娘の拙い愛情表現だ。
村上先生は、昨日のような困惑は見せず、「確かに受け取りました」と言った。
大人の男の人は、簡単には表情を崩さない。
「また遅刻になりますよ。急いで」
時計を確認すると、休み時間ももう終わりそうで、走って教室に向かった。
私の席には、東野君がいた。男子数人で固まって、楽しげに話している。
「おはよ、東野君」
「あ、おはよ!体調、戻ったの?」
「うん。昨日はありがとう。先生呼んできてくれて…」
「元気ならよかった。ちょー心配したよ」
東野君としゃべっていた男子たちが、意味ありげに私と東野君から離れていく。
「ごめん。私、邪魔しちゃったね」
「ううん、そんなことないよ。あいつら、いらねー気利かせてんだよ…」
キラキラした瞳を私に向けて、照れたように笑う東野君。
本当の私を知っても、そんな表情を見せてくれるのかな。