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17歳の寄り道
第5章 【碧編】ファザー・コンプレックス
サンダルの踵を鳴らして駆け寄ったら、その車は私の目の前で停まり、運転席の窓が開く。
村上先生は、全開した窓から白い買い物袋を私に差し出した。
「白川に差し入れだよ。」
「差し入れ?お菓子?」
「そう」
袋の中を確認すると、やや重さのある冷たいカップとスプーンが入っている。プリンか何か?
「くれるの?ありがとう」
村上先生は無精ひげを弄りながら、小さく頷く。
帰られてしまうのが寂しくて車の窓枠に手を置くと、先生は周りに誰かいないか見回すような仕草をした。
「手を退けなさい。危ないから」
と冷たく言い放たれたので、手を下ろす。
すると、村上先生は私の後ろの上の方を指さした。
「今日は満月だよ。月が明るいから、星は見えにくいけどね」
先生に言われて空を見上げた。
青白い月が浮き出ている。
その明るさに照らされた雨上がりの夜空は、水分を含んでいて星がぼんやり見える。
「わぁー、なんか神秘的できれい…」
「今夜は空を眺めながら寝なさい。また明日な。遅刻しないように」
「はい・・・」
窓が閉まり始め、私は一歩後ろに下がり、進み出す車を見つめる。
村上先生は、一度もドアを開けなかった。私に触れなかった。
私に残されたのは、差し入れと夜空。
車が去り、洗濯かごの中に差し入れを入れて家に戻る。
洗面所で、白い袋を広げると、焼きプリンと白い四つ折りのメモが入っていた。
メモにドキっとし、焦りながら広げる。
そこには美しく神経質そうな、村上先生の字で
『明日、話を聞くよ。』
と書かれていた。
そのメモはまた、折り畳んでポケットに入れた。
話をしたいというより…
先生に抱きしめられて、壊されてみたい。男になった村上先生の顔を間近で見て、それで――…
リアルな空想を始めると、私の身体の女の部分がジンジンしてくる。
そんな事を考えてしまう自分も、女になったこの身体も、暴走しそうだ。
プリンを食べた後は。
自分の部屋の窓から、先生に教えてもらった満月を眺めながら、あらぬ妄想に耽った。
村上先生は、全開した窓から白い買い物袋を私に差し出した。
「白川に差し入れだよ。」
「差し入れ?お菓子?」
「そう」
袋の中を確認すると、やや重さのある冷たいカップとスプーンが入っている。プリンか何か?
「くれるの?ありがとう」
村上先生は無精ひげを弄りながら、小さく頷く。
帰られてしまうのが寂しくて車の窓枠に手を置くと、先生は周りに誰かいないか見回すような仕草をした。
「手を退けなさい。危ないから」
と冷たく言い放たれたので、手を下ろす。
すると、村上先生は私の後ろの上の方を指さした。
「今日は満月だよ。月が明るいから、星は見えにくいけどね」
先生に言われて空を見上げた。
青白い月が浮き出ている。
その明るさに照らされた雨上がりの夜空は、水分を含んでいて星がぼんやり見える。
「わぁー、なんか神秘的できれい…」
「今夜は空を眺めながら寝なさい。また明日な。遅刻しないように」
「はい・・・」
窓が閉まり始め、私は一歩後ろに下がり、進み出す車を見つめる。
村上先生は、一度もドアを開けなかった。私に触れなかった。
私に残されたのは、差し入れと夜空。
車が去り、洗濯かごの中に差し入れを入れて家に戻る。
洗面所で、白い袋を広げると、焼きプリンと白い四つ折りのメモが入っていた。
メモにドキっとし、焦りながら広げる。
そこには美しく神経質そうな、村上先生の字で
『明日、話を聞くよ。』
と書かれていた。
そのメモはまた、折り畳んでポケットに入れた。
話をしたいというより…
先生に抱きしめられて、壊されてみたい。男になった村上先生の顔を間近で見て、それで――…
リアルな空想を始めると、私の身体の女の部分がジンジンしてくる。
そんな事を考えてしまう自分も、女になったこの身体も、暴走しそうだ。
プリンを食べた後は。
自分の部屋の窓から、先生に教えてもらった満月を眺めながら、あらぬ妄想に耽った。