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17歳の寄り道
第1章 【碧編】17歳、白川碧
手前にある椅子に腰掛けたら、村上先生も前の椅子を引いて座り、頬杖をついて私を見た。
「ついでに聞いとくよ。何で家帰りたくないの?」
さっきの言葉は聞き流されてはいなかったんだ。
少しだけ救われた気持ちになった。
ハンカチを膝の上で握りしめて、メガネの奥の先生の瞳を見つめる。
私は誰かに話したかったのだろうか。
「誰にも…言わないでくれますか?お母さんにも…」
先生は頬杖をやめて、体を私の方に向けて座り直した。
「ああ。言わない」
「大した話じゃないんです、全然…」
そう切り出した私は、村上先生に全てを話した。
言葉に出すと、心がどんどん軽くなって、村上先生の相槌にもたまらなく嬉しくなり、最後にはこう話していた。
「居場所がなくてつらい……」
これが本心だったのかと自分でも驚いた。
村上先生は、じっと耳を傾けてくれたあと、大きな手で頭を撫でてくれた。
話し過ぎてしまった、「もっとつらい状況の人間はいるぞ」と言われたらどうしよう、甘いと叱られたら…
そんな不安など掻き消されるほど、先生の手は安心できた。
手が離れたら、先生は一つ提案をした。
「天文部入れば?俺顧問だし、夏と冬の合宿はあるけど、活動は自由だよ」
「女の子は……」
「二人いるよ。普通科の1年が。あとは浅野も入れてやろうと思ってる」
「えっ…」
入部やめとこうかな。
私のリアクションを見て、村上先生がくっくっと笑う。
「浅野と一緒は嫌なんだ」
「だ、だって浅野君嫌なこと言うんだもんっ」
「白川のこと好きだからでしょ。いじめたいんだろ、ガキだな」
えーーー
仮に好きだとしても、その相手に、お前はみんなのオナペットだとか言う???
理解に苦しんでいたら「俺も天邪鬼だから、浅野の気持ちはわかる」と村上先生。
村上先生の印象が変わった。
中学でもこんな先生はいなかった。
生徒の気持ちに寄り添ってくれる先生だ。
「ついでに聞いとくよ。何で家帰りたくないの?」
さっきの言葉は聞き流されてはいなかったんだ。
少しだけ救われた気持ちになった。
ハンカチを膝の上で握りしめて、メガネの奥の先生の瞳を見つめる。
私は誰かに話したかったのだろうか。
「誰にも…言わないでくれますか?お母さんにも…」
先生は頬杖をやめて、体を私の方に向けて座り直した。
「ああ。言わない」
「大した話じゃないんです、全然…」
そう切り出した私は、村上先生に全てを話した。
言葉に出すと、心がどんどん軽くなって、村上先生の相槌にもたまらなく嬉しくなり、最後にはこう話していた。
「居場所がなくてつらい……」
これが本心だったのかと自分でも驚いた。
村上先生は、じっと耳を傾けてくれたあと、大きな手で頭を撫でてくれた。
話し過ぎてしまった、「もっとつらい状況の人間はいるぞ」と言われたらどうしよう、甘いと叱られたら…
そんな不安など掻き消されるほど、先生の手は安心できた。
手が離れたら、先生は一つ提案をした。
「天文部入れば?俺顧問だし、夏と冬の合宿はあるけど、活動は自由だよ」
「女の子は……」
「二人いるよ。普通科の1年が。あとは浅野も入れてやろうと思ってる」
「えっ…」
入部やめとこうかな。
私のリアクションを見て、村上先生がくっくっと笑う。
「浅野と一緒は嫌なんだ」
「だ、だって浅野君嫌なこと言うんだもんっ」
「白川のこと好きだからでしょ。いじめたいんだろ、ガキだな」
えーーー
仮に好きだとしても、その相手に、お前はみんなのオナペットだとか言う???
理解に苦しんでいたら「俺も天邪鬼だから、浅野の気持ちはわかる」と村上先生。
村上先生の印象が変わった。
中学でもこんな先生はいなかった。
生徒の気持ちに寄り添ってくれる先生だ。