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17歳の寄り道
第5章 【碧編】ファザー・コンプレックス
村上先生は、義父と同じ年代だろうか…。もう少し、上かな?
母より5歳若い義父は、今年33歳。
同じぐらいだとしたら、私の倍は生きている。

村上先生は、すごく年上のひとなのに。
遥にも、東野君にも、誰にも抱いた事のない温かな感情が私の心を支配する。


教室に入ると、サッカー部の朝練を終えた東野君がいた。
練習後に頭から水を被ったのか、しっとりと水が滴る姿には惹かれるものがあった。

「おはよ、白川。早いね」

いつも遅刻ギリギリなので、こう言われる。

「今日は徒歩なの。東野君、家遠いんだよね?すごいね、朝練だと朝早いのに」
「そー。5時起き」
「えっ!!!」
「ちょうど日の出の時間だよ。今日みたいに晴れてる日はすげーきれいだよ」

毎朝7時に鳴り響く目覚ましをやっつけて、ヨロヨロと起きている私には尊敬の一言だ。

「じゃあ、夜は何時に寝てるの?」
「11時前ぐらいかなぁ、早い?」
「寝不足にならない?」

私があまりに食いついて聞くものだから、東野君は笑いだしてしまった。

「眠いよ。電車の中で寝てるよ。1時間は乗ってるし。あと休日に寝る」

東野君の知られざる私生活が垣間見えて、更に尊敬した。

「部活が大変でデートできないね…」
と言うと、東野君は口元に手を当てながら、「そんなことないよ」と言った。


そして、背後から、登校してきた千晴が現れた。

「おっはよ、碧!東野君!二人、朝から仲良いね〜」

千晴の冷やかしに東野君は口元に手を当てたまま、肯定も否定もしなかった。


朝から選択科目だったので、朝の時間が終わったら千晴と教室を移動する。私たちは美術を取っていた。

美術室は体育館横にあり、秘密基地まで近い。
朝から遥の姿が見えないが、学校を休んでいるのかそこにいるのか…

ずっと聞き損なっていた連絡先と、昨日の夜は何していたのかを、直接確認したかった。
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