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17歳の寄り道
第6章 【碧編】タブー
「セックスを知ったのなんて、数日前だよ。数回しかしてないし」
「その数回のうちの一回に俺は立ち会ったのか」

へへ、と笑ったら、「笑いごとじゃない」と叱られた。

「そんなに心配ならさ、先生が相手してくれたらいいじゃん」
「は?」
「そしたらセックスの相手…先生だけにするよ」
「…………」

半分冗談だったのだが、先生は考え込み、私を見つめる。


「それでいいなら、そうするか。いいよ。やってみても」


まさか承諾するとはつゆほども思わず、今度は私の方が慌てる。

「いいの?先生なのに?この前プリンくれた時だって、見つかったらだめな感じだったのに…」
「俺のズボンずり下げて咥えた奴がよく言うよ。別に俺は、お前ひとり抱くぐらい何てことないよ。オナニーしてるのと変わらない」

女じゃなく、雌猫を拾ったような顔をして先生は答えた。
それが村上先生の本音?

「いいか。条件は絶対秘密。それだけだよ」

私が寂しくなったら、先生に抱いてもらう約束。
恋愛ではないけど、好きという言葉つき。


「じゃあ、帰ろうか。ちょっと遅くなったな」


村上先生はまたメガネをかけて、今の約束なんて大したことじゃないかのような顔をして、私にシートベルトをするように言ってきた。

私は、衝撃の約束を交わしたと思っているんだけど……ドキドキしてるのは私だけのようだ。

先生が口の中で果てた時、『勝った』と思ったのに、すぐに形勢逆転をして。
今は私の方が、村上先生に負けてる。



その後は普通に家に送り届けられて、しばらくは夢うつつの状態で過ごした。

「最近、ぼーっとしてるねぇ」と母が変な顔をしていた。
義父のことは驚くほど気にならず、お風呂の時に義父に下着を見られないようにさえしたら、なんとか普通に過ごせるものだった。

私…いつか村上先生とエッチするんだ、と考えたら落ち着かない。
私が望めば、あの手で、いろんな所を触ってもらえる。
誰にも秘密にさえしていたら、先生が抱いてくれる――。

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