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17歳の寄り道
第7章 【碧編】来訪者
義父のお酒の匂い、にやにやしたあの顔、吐き気がする。
誰か、誰か、…助けて。

指で慰めることなんて何の救いにもならない。
今、助けてほしい。

襲い来る不安に自分の胸元を押さえる。
気持ち悪い、義父なんていなくなってしまえばいい、ほとんどお母さんの稼ぎで生活しているのに、なんであんなのがいいの、お母さん―――。

村上先生に連絡をしようとスマホを手に取ると、見知らぬ番号から着信が入っていた。
そして、東野君からLINEも。

どういう事…?と、呼吸を忘れて東野君のLINEを読む。


――浅野に、白川の番号教えたよ。
――無断でごめん。
――あいつ、急いでるみたいだったから…


……じゃあ。この見慣れない番号は遥…?
しばらくスマホを握りしめたまま思考停止していたら、ブーンと震え出し、焦りながら電話に出た。


「もしもしっ…」

『―――碧?…俺。浅野だけど……』

「…遥…………」

久しぶりの遥の声に、涙腺が刺激される。
外にいるような声の響きだ。また、どこか出掛けているの?

何よ、電話なんか…
何の用よ。

『今日、村上と来てくれただろ』

「……でも、結愛ちゃんといたんでしょ。私なんていらなかったね。どうせ、二人でエッチなことしてたんでしょ。最低」

遥の声を聞けて嬉しいはずなのに、可愛げのない言葉ばかりが溢れて止まらない。

何よ、今さら。
何で電話なんかしてくるの。

私はもう、村上先生と…


『会いに行っていい?』

「やだ…」

『もう、おまえんち着くよ』

すぐにカーテンと窓を開けた。
身を乗り出して、家の前の道路を眺める。

どこ…?

『あ、碧が見えた。窓んとこ…』

息を切らす遥の声。
薄暗い街灯に照らされた遥が見えた。黒い自転車に乗っている。

『出てこれる?』

「無理だよ、お母さんたちに気付かれる」

『じゃあ、窓から部屋入れて』

「えっ?」

遥は家の前に自転車を止め、スマホを耳に当てながら私の部屋を見上げている。

『物置きに登ったらいけそうだな』

「ちょっと待ってよ、見つかったら…!それにケガしたりしたら」

私の制止など全く聞かず、遥は身軽な様子で物置きに登り、1階の屋根に登ってくる。

「手、貸して」と言われて、夢中で手を差し出した。


ぐっと引っ張られた瞬間、遥が部屋に飛び込んできた。
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