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真昼の情事
第2章 風呂場
居間は窓を閉め、エアコンをかけてきた。汗を吸った座布団はそのままだ。
二人黙ったまま裸になり、タイル張りの風呂場に入る。昼間なら、電気をつけないでも裏に面した曇りガラスから入ってくる薄い光でことが足りる造りだ。
蛇口をひねった一松が屈んでシャワーの温度を見ていると、腰に抱きつかれた。振り向こうとすると腰骨を甘噛みされ、ずくんと走る疼きに、先端からまた透明な液体が垂れる。
「待ってよ」
「ヤりたいの、自分だけだと思ってる」
「思ってないから」
シャワーヘッドをホルダーにセットして、水に近いような温度で降り注ぐ湯の中、一松はカラ松と位置を入れ替えた。なにも言わず、動作だけでカラ松を座らせる。
サアァ━━……
ホルダーの下の壁に前腕を突いた一松の体にさえぎられて、水滴はカラ松には届かない。浴室に響く水音と、一松が放射する体温の膜に包まれているような感覚。
見上げれば、眉をひそめる一松と目が合う。
「あんた可愛い……」
思わず、といった様子で落ちてきた言葉に膜が閉ざされたのを感じた。
一松はこうしてたまに、カラ松に可愛いと言ってくれる。それは言葉にしないと耐えられないというような抑えたもので、そこにいちばんの喜びを感じる。
だが、
「ねぇ、俺のこと好きにして……」
こんなふうに、『可愛い』と言った相手に身を委ねてくれるドSでドMな弟。自分自身の言葉で自分を苛めながら、カラ松がそれに応えると信じている。この強いようで弱い生き物に信じられている。可愛いのはお前のほうだと言いたくもなる。
二人黙ったまま裸になり、タイル張りの風呂場に入る。昼間なら、電気をつけないでも裏に面した曇りガラスから入ってくる薄い光でことが足りる造りだ。
蛇口をひねった一松が屈んでシャワーの温度を見ていると、腰に抱きつかれた。振り向こうとすると腰骨を甘噛みされ、ずくんと走る疼きに、先端からまた透明な液体が垂れる。
「待ってよ」
「ヤりたいの、自分だけだと思ってる」
「思ってないから」
シャワーヘッドをホルダーにセットして、水に近いような温度で降り注ぐ湯の中、一松はカラ松と位置を入れ替えた。なにも言わず、動作だけでカラ松を座らせる。
サアァ━━……
ホルダーの下の壁に前腕を突いた一松の体にさえぎられて、水滴はカラ松には届かない。浴室に響く水音と、一松が放射する体温の膜に包まれているような感覚。
見上げれば、眉をひそめる一松と目が合う。
「あんた可愛い……」
思わず、といった様子で落ちてきた言葉に膜が閉ざされたのを感じた。
一松はこうしてたまに、カラ松に可愛いと言ってくれる。それは言葉にしないと耐えられないというような抑えたもので、そこにいちばんの喜びを感じる。
だが、
「ねぇ、俺のこと好きにして……」
こんなふうに、『可愛い』と言った相手に身を委ねてくれるドSでドMな弟。自分自身の言葉で自分を苛めながら、カラ松がそれに応えると信じている。この強いようで弱い生き物に信じられている。可愛いのはお前のほうだと言いたくもなる。