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恋はいつでも平行線【完結】
第31章 *三十一*
 と言われても、なんだかピンとこない。
 でもそれはきっと、雪さんと青が守ってくれていることなのだろう。

「昔の神田家の人たちは、実は……加護を与えるといって、不特定多数の男たちと交わっていたのです」
「……え」
「とはいえ、不特定多数と言っても、誰彼構わずではないですよ。巫女が嫌と言えば、たとえ金をたくさん積まれても、受けませんでした。ただし、巫女が気に入れば、身分関係なく、受け入れていました」

 そうだったんだ。

「でも、前の奥さまの時から、そういうことは止めることになったのです」

 初めて聞いた話だった。

「え……と、今の話を聞いていたら、神田家の人たちは加護があるのよね? それなのに、どうして巫女だけ?」
「男性も加護を与えることができると思うのですが、いかんせん、あちこちに種をばらまかれると色々困りますし、なによりも、男性は別の家に入ることになっていましたから……」

 あー、なるほど。

「……あいつが柚希の加護を受けていた、というのは分かった。でも、あいつ、それ以前からなんかおかしいよ。呪われたものにやたらに好かれてないか?」

 それはちょっと不思議に思っていたことだった。

「そういうのに『好かれる』人というのはいるでしょう。彼がたまたまそうだったのかと」

 そんな気がしていたけれど、臣哉はどうやら、呪われたモノに好かれる体質らしい。

「俺、あいつのこと、嫌い」
「青、あなたは呪われたなにかだったのですか」

 雪さんの呆れた声に、わたしは思わず笑った。

「そういう雪はどうなんだよ」
「私もあの人は苦手ですね。顔の造詣はともかく、あの流し目がどうも駄目です」

 それはわたしも同意だったので、うなずいた。

「じゃ、あいつ、このまま行方不明でもだれも困らないじゃん」
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