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恋はいつでも平行線【完結】
第32章 *三十二*
わたしは臣哉が嫌いだ。
だけど、そう思う気持ちと同時に、あのどうしようもない男のことが忘れられないでいる。
惹かれている、のかもしれない。
本当に、ロクでもない男だと思う。
デリカシーはないし、手当たり次第に女性に声を掛けるし、それなのに、わたしのことを嫌いと言いながら、流し目でわたしを誘ってくるところや、強引なところ、嫌だと言って拒否をしても無理矢理関係を強いてきて……。
そして──その身体が、気持ちがよくて、忘れられないでいる……だなんて。
臣哉が言ったように、わたしは本当にどうしようもないほど、淫乱なのかもしれない。
「……臣哉のこと、嫌い」
わたしがぼそりと呟けば、青は呆れたようにため息を吐いた。
それから、青は困ったように頭をかきむしった後、呻くように口にした。
「柚希が思っているあいつと、実際のあいつ、たぶん違うよ」
「……え?」
わたしは赤い顔のまま顔を上げ、青を見た。
青はひどく真剣な表情をしていた。
「柚希が見ていたあいつ、実はあいつ本人が作った姿だったとしたら?」
「……え?」
「俺、あいつがすごく嫌いだ。本当に大っ嫌いだ。いなくなって清々したって思うくらい、嫌いだ」
青の本音に、わたしは思わず苦笑した。
「あの日、俺はあいつに触れた。だからあいつがなにを考えているのか、大体知っている」
「……うん」
「あいつが言うように、あいつは柚希のこと、嫌いみたいだ」
「う、うん」
臣哉の口からではなくて、青の口からそう聞かされると、分かっていても心が痛い。
わたしの表情の変化で、青は慌ててフォローした。
「ごめん、柚希。俺は柚希のこと、大好きだよ。愛してると言ってもいいくらいだ。たとえ柚希があいつのことを好きでも、俺は変わらずに柚希のことを愛し続ける」
「あ……うん、ありがとう。わたしも青のこと、好きだよ。……臣哉なんて、嫌いだから!」
「あー……。そういうさあ、なんというか、変なところで気が合うってのが、正直、腹が立つんだよな」
「え……?」
「嫌いなのに、心が惹かれる。だから余計に、反発したくなる。……それがお互いってのが、あー!」
だけど、そう思う気持ちと同時に、あのどうしようもない男のことが忘れられないでいる。
惹かれている、のかもしれない。
本当に、ロクでもない男だと思う。
デリカシーはないし、手当たり次第に女性に声を掛けるし、それなのに、わたしのことを嫌いと言いながら、流し目でわたしを誘ってくるところや、強引なところ、嫌だと言って拒否をしても無理矢理関係を強いてきて……。
そして──その身体が、気持ちがよくて、忘れられないでいる……だなんて。
臣哉が言ったように、わたしは本当にどうしようもないほど、淫乱なのかもしれない。
「……臣哉のこと、嫌い」
わたしがぼそりと呟けば、青は呆れたようにため息を吐いた。
それから、青は困ったように頭をかきむしった後、呻くように口にした。
「柚希が思っているあいつと、実際のあいつ、たぶん違うよ」
「……え?」
わたしは赤い顔のまま顔を上げ、青を見た。
青はひどく真剣な表情をしていた。
「柚希が見ていたあいつ、実はあいつ本人が作った姿だったとしたら?」
「……え?」
「俺、あいつがすごく嫌いだ。本当に大っ嫌いだ。いなくなって清々したって思うくらい、嫌いだ」
青の本音に、わたしは思わず苦笑した。
「あの日、俺はあいつに触れた。だからあいつがなにを考えているのか、大体知っている」
「……うん」
「あいつが言うように、あいつは柚希のこと、嫌いみたいだ」
「う、うん」
臣哉の口からではなくて、青の口からそう聞かされると、分かっていても心が痛い。
わたしの表情の変化で、青は慌ててフォローした。
「ごめん、柚希。俺は柚希のこと、大好きだよ。愛してると言ってもいいくらいだ。たとえ柚希があいつのことを好きでも、俺は変わらずに柚希のことを愛し続ける」
「あ……うん、ありがとう。わたしも青のこと、好きだよ。……臣哉なんて、嫌いだから!」
「あー……。そういうさあ、なんというか、変なところで気が合うってのが、正直、腹が立つんだよな」
「え……?」
「嫌いなのに、心が惹かれる。だから余計に、反発したくなる。……それがお互いってのが、あー!」