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恋はいつでも平行線【完結】
第32章 *三十二*
青はそういうと、またもや頭をかきむしった。
「あー、すっごく嫌だ。反発してるのに、惹かれ合ってしまうっての。気になって仕方がないっていうか、無視できない気持ちってのが」
青の言いたいことは痛いくらい分かっていた。
そうなのだ、嫌いだから考えないようにしようとするのに、どうしてか、思い出して、すごく苦い気持ちになるのだ。
「素直に好きと思えたら楽なのに」
「……そうだね。でもまあ、あいつが態度を改めない限り、無理だと思うよ」
「それはまあ、お互い様なのかもしれないけど」
相手を変えるのは無理だから、自分の気持ちの持ち方を変える方が早いと、祖母に昔、言われたことを、今になって思いだした。
それは一理、あるかもしれない。
「……でもさ、あいつ、柚希のことを嫌いと言いながら、本当は──」
青がなにかを言おうとしたところで、ふすまがいきなり勢いよく開いた。
驚いて、青と同時にそちらを見ると、肩で息をしている雪さんがいた。
「……見つかった」
「え」
「あいつが、見つかった」
「見つかった……?」
雪さんの言葉に立ち上がり、ふらふらと雪さんへと歩み寄った。
雪さんは慌ててわたしに近寄って、支えてくれた。
「柚希さま?」
もう、死んでいると思っていた。
けんか別れみたいな状況になっていたのが、ずっと気になっていた。
だけど──見つかったという。
後ろから青が近寄ってきて、雪さんからわたしの身体を受け取った。
それから顔に掛かった髪の毛を払い、頬を撫でてくれた。
「柚希、泣くな!」
言われて、そこでわたしは自分が泣いていることを知った。
「雪、詳しい状況を」
「……はい。私たちはずっと、彼を探していました。最初は彼が住んでいた場所。それから、彼にゆかりのある場所。だけど、どこにも彼はいませんでした」
「あー、すっごく嫌だ。反発してるのに、惹かれ合ってしまうっての。気になって仕方がないっていうか、無視できない気持ちってのが」
青の言いたいことは痛いくらい分かっていた。
そうなのだ、嫌いだから考えないようにしようとするのに、どうしてか、思い出して、すごく苦い気持ちになるのだ。
「素直に好きと思えたら楽なのに」
「……そうだね。でもまあ、あいつが態度を改めない限り、無理だと思うよ」
「それはまあ、お互い様なのかもしれないけど」
相手を変えるのは無理だから、自分の気持ちの持ち方を変える方が早いと、祖母に昔、言われたことを、今になって思いだした。
それは一理、あるかもしれない。
「……でもさ、あいつ、柚希のことを嫌いと言いながら、本当は──」
青がなにかを言おうとしたところで、ふすまがいきなり勢いよく開いた。
驚いて、青と同時にそちらを見ると、肩で息をしている雪さんがいた。
「……見つかった」
「え」
「あいつが、見つかった」
「見つかった……?」
雪さんの言葉に立ち上がり、ふらふらと雪さんへと歩み寄った。
雪さんは慌ててわたしに近寄って、支えてくれた。
「柚希さま?」
もう、死んでいると思っていた。
けんか別れみたいな状況になっていたのが、ずっと気になっていた。
だけど──見つかったという。
後ろから青が近寄ってきて、雪さんからわたしの身体を受け取った。
それから顔に掛かった髪の毛を払い、頬を撫でてくれた。
「柚希、泣くな!」
言われて、そこでわたしは自分が泣いていることを知った。
「雪、詳しい状況を」
「……はい。私たちはずっと、彼を探していました。最初は彼が住んでいた場所。それから、彼にゆかりのある場所。だけど、どこにも彼はいませんでした」