この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋はいつでも平行線【完結】
第35章 *三十五*
そういえば家の鍵は伯父さんに預けていたので、リンティに寄らなければと思ったら、改札の向こう側で青が待っていてくれた。
「柚希、おかえり」
「青! ただいま!」
改札を出たところで、青がわたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
人通りがそこそこあるので、視線が痛い。
それでも、青の温もりが嬉しくて、抱きしめ返すと、青が嬉しそうに笑った。
「家の鍵、預かってきた」
「え……伯父さんに会ったの?」
「いや、あいつから取ってきた」
えー、臣哉のヤツ、まだマスターキー持ってたんだ。
「そういえば、臣哉ってどこに入院してるの?」
「いや、もう退院してる」
「え、そうなの?」
臣哉がどれだけ行方不明だったのか分からないけれど、かなり衰弱していたのではないだろうか。
てっきり一週間くらいは入院していると思ったのだけど、大丈夫なんだろうか。
「あいつ、殺しても死なないよ」
「あははは……」
そういいながら、青と手を繋いで数か月ぶりに部屋に戻り、鍵を開けたところで……。
見覚えのある手が伸びてきて、強く引き寄せられた。
ぎゅっと抱きしめられ、その体温ですぐにだれか分かってしまった。
「────っ!」
「おかえり、柚希」
目の前には、二重の垂れ目なのに、眼光が鋭く、左目尻にほくろがある臣哉が、色気たっぷりな笑みを浮かべてわたしを抱きしめていた。
まさか臣哉がここにいるとは思わなくて、これは逃げた方がいいのかと思ったら、ぱたん……と戸が閉まった音がした。
慌てて後ろを見たら、困った顔をした青がいた。
「え……なんで」
「柚希、おかえり」
「青! ただいま!」
改札を出たところで、青がわたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
人通りがそこそこあるので、視線が痛い。
それでも、青の温もりが嬉しくて、抱きしめ返すと、青が嬉しそうに笑った。
「家の鍵、預かってきた」
「え……伯父さんに会ったの?」
「いや、あいつから取ってきた」
えー、臣哉のヤツ、まだマスターキー持ってたんだ。
「そういえば、臣哉ってどこに入院してるの?」
「いや、もう退院してる」
「え、そうなの?」
臣哉がどれだけ行方不明だったのか分からないけれど、かなり衰弱していたのではないだろうか。
てっきり一週間くらいは入院していると思ったのだけど、大丈夫なんだろうか。
「あいつ、殺しても死なないよ」
「あははは……」
そういいながら、青と手を繋いで数か月ぶりに部屋に戻り、鍵を開けたところで……。
見覚えのある手が伸びてきて、強く引き寄せられた。
ぎゅっと抱きしめられ、その体温ですぐにだれか分かってしまった。
「────っ!」
「おかえり、柚希」
目の前には、二重の垂れ目なのに、眼光が鋭く、左目尻にほくろがある臣哉が、色気たっぷりな笑みを浮かべてわたしを抱きしめていた。
まさか臣哉がここにいるとは思わなくて、これは逃げた方がいいのかと思ったら、ぱたん……と戸が閉まった音がした。
慌てて後ろを見たら、困った顔をした青がいた。
「え……なんで」