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第35章 ＊三十五＊

　青は臣哉を嫌っていたはずなのに、どうして？

「そうだよねー、不思議に思うよな」
「やだ、臣哉、離してよ！」
「んー、ちょっと無理かなあ」
「なんで！　わたし、あんたのこと！」
「嫌い、なんだろ？　それは知ってる。でもさ、残念ながら、オレは柚希のこと、好きなんだよね」
「……は？」

　青を見ると、相変わらず困った顔をしているだけ。
　助けを求めたところで、どうやら助けてくれないと分かり、諦めて臣哉を見た。

「オレ、柚希のこと、嫌いって言ってたけど、本当は好きなんだよ。照れ隠しに嫌いって言ってただけ」
「……なに、それ」

　臣哉はにやにやと笑っている。
　絶対それ、本心じゃない。

「そこの青とかいうヤツと、良い感じなんだって？」

　すごく嫌な予感がする。

「柚希、愛してる。結婚しよう」
「……え、やだ」
「やだって言われたら、ますます燃えるんだよなぁ、オレ」

　臣哉の性格が悪いのは知っていたけれど、これ、ひどくない？

「おまえさ、青とよろしくやりたいんだろう？」
「……あのね、別にそういうのじゃあ……！」
「オレから逃げて、さんざん、そいつとエロエロなこと、やりまくってたんだろう？　いいじゃん、オレ、寛容だから、そいつとよろしくやっても文句言わないぜ」
「…………」

　臣哉はそういいながら、わたしの胸を揉み始めた。
　すっごく最低じゃない？
　抗おうと身じろぎしたら、ますます胸が刺激されて、わたしの残念な身体は反応し始めて、嫌なのに喘ぎ声が洩れ始めてしまった。
　もうこうなったら、止められない。

「オレ、おまえを抱いて、分かったんだ。おまえのこと、愛してるって」
「う……そ、つき」
「嘘かどうか、身体に教えてやるよ」
「やだ、青！　助けて！」
「……ごめんね、柚希。俺、柚希とずっといたいから……そいつと契約したんだ」
「え」