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恋はいつでも平行線【完結】
第7章 *七*
 触れた途端、びりっとした痛みが全身を駆け抜けた。
 慌てて手を離し、臣哉をにらんだ。

「……というのは嘘で」
「は?」
「それ、いつもの呪われた品」
「……え」
「昨日の夜、緊急事態といってうちの店に持ち込まれたもの」
「…………」

 ちょっと待て。

 敬人伯父さんは、世界各国から骨董を集めてきて、売っている。
 通常であれば、ただの中古品だから、ほかの新品同様、使うことができる。
 だけど、中には思い入れが強すぎたり、なんらかの原因で呪いの品になってしまうことがある。
 品物に魂が宿るだとか、無機物が呪うだとか、そんなことがあるわけないだろうと思うけれど、だけどここには、ありえないと思われる品々が集まっていた。

 そして、臣哉の実家は、宝石店だ。
 宝石も基本は問題がないものが多いのだが、呪いの宝石というものが中には存在して、非化学的であるけれど、それを所有することで、不幸が舞い込んだり、最悪な場合は、死んでしまったりするものがある。

 別にうちは、そういう呪われた品を管理していますなんて大々的には言ってないのだけど、いつの間にか噂が広まって、たまにこうして呪いの品が持ち込まれる。
 特に臣哉の店は、呪いの品が来る率が高いみたいで、しかも最近では、意図的に持ち込まれることが多い。

「なんかそれ、相当やばいものらしくて」
「……ちょっと待ちなさい。その品を、どうしてわたしの腕にするわけ?」
「え、おまえなら、呪われるなんて繊細なこと、ありえないだろ?」
「あのね、呪われることがイコール繊細っていう理論もよくわからないし、わたしが繊細ではないって、どういうことっ?」

 かなり失礼だし、ひどくない、その言い草っ! と思って、もう一度にらんだけれど、臣哉はにやにや笑っているだけだった。

「でもこれ、かなりいい品物だと思うんだよな。店で売れないのがもったいないくらいだ」
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