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恋はいつでも平行線【完結】
第9章 *九*
 だから言い返そうと口を開いたところで、目が覚めた。

「……………………」

 わたしの目の前には、見慣れた天井。
 先ほどの女性の顔が恐ろしくて、わたしの心臓はうるさいくらいにばくばくいっていた。
 大きく息を吸って、心を落ち着かせながら先ほど見たものを思い出していた。

 え……と、あれって、夢……よね?
 真っ赤なドレスと赤い口紅の印象が強かったけど、それよりも言われた言葉が衝撃だった。
 だって、臣哉の……アレが美味しかったって。

 え、美味しかった……?
 え? え? ええっ?

 美味しいってどういうことっ?
 いやそれより、あの女の人、なんて言っていた?
 『先ほど』って言ってたよね?
 まさか臣哉、わたしを襲った足で別の女性にも手を出したのっ?

 でも、臣哉の好みの女性とは真反対よね?
 それとも、だれでもよかったとか?
 いや、だとしたら、夢に出てくるのもおかしな話よね……。

 うーんと悩んで視線を壁に向けると、時計が視界に入った。
 時間を見ると、思っていたより寝てしまっていたようで、出勤予定時間の三十分前。
 軽くなにかを食べて、急いで出なければ。
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