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恋はいつでも平行線【完結】
第12章 *十二*
     *

 兄は当初、ここでわたしと一緒に住んでいたはずなのに、呪われた骨董と一緒に寝起きするのは嫌だと言って、今は伯父さんの家に一緒に住んでいる。
 だから、伯父さんと兄がここに来るのはずいぶんと久しぶりだ。
 もしもまだ兄がここに住んでいたならば今日の事件は起こらなかったわけで、そう思うと、なんというか、神田家男子の不甲斐なさが浮き彫りになり、やっぱり文句を言わないと気が済まない。

「臣哉が一番、悪いんだけど、伯父さんもお兄ちゃんもひどい!」

 そう言葉を口にしてしまったら最後。
 ずーっと我慢していた気持ちがあふれ出してきて、止まらなかった。

「まず、伯父さんもうかつに大切なものを臣哉になんて渡すのもどうかと思うし、お兄ちゃんがここに住んでいれば、たぶん防げたことだった。なにが守ってやるよ、嘘つき!」

 見て見ぬフリをして、ふたをしていた感情に触れてしまったら、我慢していた分、反発が半端なかった。
 わたしの中でたまっていた感情が爆発して、気持ちは追いつかなかったけれど、涙があふれて来た。

「な……にがっ! 守ってやるから心配するな、よ! 結局ここだって、わたしに押しつけて、毎日、恥ずかしい思いをしながら、守ってるじゃないっ」

 偶然が重なった結果、起こったことなのかもしれない。
 起こるべくして起こった事故とは思いたくない。

「わたしの初めて、臣哉に奪われたのよ? 別に後生大事に取ってた訳じゃないけど、それでも、せめて最初は好きな人と体験したかったわよ!」
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