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恋はいつでも平行線【完結】
第14章 *十四*
 必死に抗ったけれど、臣哉は力任せにわたしの身体を抱きしめているし、唇をかまれるのではないかというくらい食まれているし、さらには、臣哉の手のひらは不穏にもわたしの身体を撫で始めた。

 一度だけならいざ知らず、いくら気持ちがよくても、二度目は絶対に嫌だ。
 だって、身体を許したら臣哉のことだから、勘違いして、さらに増長しそうだ。

 それが嫌で、必死になって臣哉の腕の中から抜け出そうともがくのだけど、夜中の時と同じように、思うように身体が動かないし、左腕が痛い。
 抗議しようにも、臣哉に変に唇をふさがれているから、しゃべれない。

 臣哉の手のひらが、わたしの身体を探るように撫でていく。
 肩から胸へと伸び、服の上から揉み始めた。

 そうなるともう、条件反射のようにわたしの身体は反応して、脳へ気持ちがいいという信号を送り始めるのだから、本当にたちが悪い。

「……んっ」

 胸を痛いくらいの強さでつかまれ、手のひらで押しつぶすようにこねられると、嫌なのに甘ったるい息が洩れてきた。
 臣哉なのにっ!
 大嫌いな、臣哉なのに!
 自分にそう言い聞かせるのだけど、身体は思いとは裏腹に、与えられた刺激に対して、素直に反応を返してしまう。

「ぁっ、いやっ!」

 ようやく口が離されたから拒否の言葉を口にしたのに、臣哉は嬉しそうに笑った。

「柚希の『いや』は、よすぎて感じすぎて怖いって意味だからな」
「そんなわけないっ!」

 いかに早くイケるかという訓練のせいで快楽に弱いけれど、だけど、本気で臣哉とは嫌だった。

「離してっ!」
「嫌だね。オレ、柚希の嫁らしいし、だんなさまに気持ちよくなってもらわないと離婚されるからな。充分、ご奉仕させてもらうぜ」

 なにがご奉仕よ、ほんっと冗談じゃないわよ!

「あんたなんて、大っ嫌い! 結婚なんてしないから!」
「柚希が照れ屋なのは知ってたけど、ほんとはずっと、オレのこと、好きだったくせに。大嫌いなんて照れ隠しを言うなんて、意外にかわいいところ、あるじゃん」
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