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喰われる人妻 菜穂
第34章 喰われる人妻 菜穂(34)
鼻息を荒くしながら服を乱暴に脱がせていく近藤。

そしてその近藤の目には、明らかに嫉妬や憎悪が滲み出ていた。


〝小溝なんかと結婚するからこんな事になったんだ〟


菜穂は昔、近藤とのお付き合いを断った事ある。それを近藤は今までずっと根に持っていたのだと、菜穂はその言葉を聞いて気付いた。

でも菜穂はそんな近藤が理解できなかった。

もうあれから何年も経っているのに、どうして今さら……。


「イヤ!止めて近藤さん……どうしてそんな……」


「俺を小さい男だと思うか?そう思うならそれでもいい。でも俺は君の身体をこうやって自分の好きにできるならそれで満足なんだ。小溝が馬鹿みたいに働いてる間に、小溝の嫁でこうやって遊ぶのが何よりも楽しいのさ。」


「な……何言ってるの?……狂ってる……そんなの狂ってます!近藤さん、お願いだから正気に戻ってくださいっ。」


「ハハッ菜穂ちゃん、俺は今も極めて冷静だよ。これは俺がずっと望んでいた事なんだ。それがやっと叶うんだから嬉しいよ。
それに誰だってこういう黒い欲望は持っているものだろ?俺も天野部長も、そして菜穂ちゃん、君もね。」


「……私も……?」


「そうさ、君だってその欲望を満たすために天野部長とセックスをしたんだろ?小溝に嘘までついてさ。」


「それは……」


「だから菜穂ちゃん、君もこっち側の人間なんだよ。金や欲に弱い人間さ。
でも大丈夫、それを恥じる事なんて全くないよ。この社会にはそんな人間は他にも沢山いるんだからな。」


「……ち、違います……私はそんなのじゃ……」


「いや、違わないさ。君はずっと誤魔化していただけなんだ。
貞操を守って平凡な毎日を過ごしていても君は満たされない。
黒い欲望を満たしてくれるもの浴びてないと君の心はすぐに干からびてしまうんだ。君はそういう人間さ。」


「……黒い、欲望……」


「そうさ。それに君はすでにそれを一度味わってしまっている。もう後には戻れないって、君自身が一番分かっているはずだ。そうだろう?」


「……。」


菜穂はそこで黙ってしまった。

確かに自分の中には黒い欲望があるのかもしれない。

でも……と、菜穂はまた思い直す。

そうじゃない自分も、まだ確かに心の中にいる。


「でも……でも私には、家族がいるんです。家族が……」

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