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喰われる人妻 菜穂
第3章 喰われる人妻 菜穂(3)


帰りのタクシーの中で、智明と菜穂は溜め息をついていた。

それは天野の相手をするのに気疲れしたのと、契約社員とはいえ、とりあえず採用して貰えたことへのホッとした安心感から漏れた溜め息だった。


「悪かったな菜穂、なんだか気苦労させてしまって。」


「ううん、あれくらいどうって事ないわ。それより良かったね、決まって。」


「ああ、とりあえずな。あとは俺の頑張り次第だな。」


「私もできる事があれば何でも協力するから、一緒に頑張ろうね。」


「うん、ありがとう菜穂。」


ようやく見えて来た未来に、久しぶりに夫婦に笑顔が戻った。

しかしまだ2人は知らない。

この先の未来に、さらに過酷な現実が待っている事を。





「どうでした?天野さん。」


「いやぁよくやってくれたよ近藤君。へへ、あれは今までにない程の上物だ。」


智明と菜穂が去った後、2人はタバコを吸いながらニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。


「当たりかハズレかを見極める期間など必要ない。あれ程の女が喰えるなら、すでに当たりクジを引いたも同然だな、ハハハッ!」


「気に入っていただけてなによりです。」


「それが君の仕事だからな、今回はよくやってくれた。それより近藤君、俺はもう今から待ちきれないよ。さっさとあの美味しそうな人妻を味見させてくれ。」


「はい、承知しました。すぐに準備しますので。」
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