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喰われる人妻 菜穂
第4章 喰われる人妻 菜穂(4)
「フフッ、よしっ、しっかり味染みてる。」


キッチンで煮物の味見をしていた菜穂は上機嫌だった。

今日作った筑前煮は、夫である智明の大好物だ。


「子供達には先に食べさせて、私は智明と一緒に食べようかな。」


新しい会社に働きに出だしてからというもの、智明の表情は生き生きしているように見えた。

相変わらず多忙である事には変わりはなかったが、先が見えなかったここ2年程の状況とはやはり違う。

契約社員とは言え、明確な目標を持って働く事に、智明は喜びを感じているのだろう。

そして智明が元気になってくれた事は、当然菜穂にとっても嬉しい事だった。

安定した生活とか収入とか、そういう心配はもちろんしてきたけれど、何よりも智明が元気でいてくれる事が、菜穂にとっては大切な事だったのだ。


仕事に関しても、智明は手応えを感じていると充実した顔で菜穂に話してくれた。

やる事は多いけど、新しい環境には慣れてきたし、やり甲斐のある仕事だよと。

あとは本採用が決まってくれさえすれば万々歳だ。

どうかこのまま採用して貰えますようにと、菜穂は毎日のように祈っていた。



♪~……♪~……


子供達を寝かせた菜穂が1人で智明の帰りを待っていると、リビングにある電話の呼び出し音が鳴った。

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