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喰われる人妻 菜穂
第37章 喰われる人妻 菜穂(37)

本当は智明に助けを求めたいけれど、それができないのは、天野と近藤に脅されているから……。

ううん、違う、それだけじゃない。

今日近藤に帰り際に言われた事を思い出す菜穂。




「じゃあ来週月曜の10時にここに書いてあるホテルの部屋で、天野部長が待ってるから。」


「え……ホテルですか?」


「そうだよ、君がどうしても会社でしたいって言うなら、俺がその希望を天野部長に伝えておいてもいいけどね。
ただ最初はホテルの方がいいんじゃないか?ほら、君って結構喘ぎ声大きいだろ?会社なんかでしたら他の社員に気付かれちゃうよ?」


「そ、それは……」


「ハハッ、だろ?あ、それからこれを飲んでおくように。」


そう言って近藤はある錠剤を渡してきた。


「これって……何ですか?」


「ピルだよ。君も妊娠なんてしたくないだろ?」


「ピル……」


「帰りはそうだなぁ、4時か5時くらいには帰してもらえると思うけど。初日は天野部長もやる気満々だろうから、6時間くらいぶっ通しになると思うけど、まぁ精々頑張りな。」


「6時間も……」


ピルを渡されたという事は、もしかしてコンドームはせずに中に出されてしまうのかもしれない。

しかも午前中から夕方までの長時間……またあの天野の絶倫セックスを味わう事になる。

それを想像しただけで、なぜか菜穂の身体が熱くなった。


――私……何を期待しているの……あんな人に――




「でも菜穂、何か問題があったらすぐに俺に言ってくれよ。」


智明は夕食を食べ終わった頃にそう菜穂に言ってきた。

智明は以前からずっと変わらない、優しいままの智明だった。

私が嘘をついているなんて、きっと夢にも思っていない。

だから私が隠し通せば、きっと智明はずっと気付かないままだと思う。


智明がこの事を知れば、絶対に怒って助けてくれるのに、どうして私は助けてって言えないの?

隠し通せてしまうから……隠し通せばいいのだと、思ってしまう自分がいる。


それから数日、菜穂はずっと悩み続けていたが、結局智明に本当の事を打ち明ける事はできなかった。

そして週が明け、ついに天野が待っているホテルに行く日がやってきた。
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