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喰われる人妻 菜穂
第4章 喰われる人妻 菜穂(4)

智明と知り合う前、菜穂と近藤は付き合う寸前の関係にまでなっていた。

当時容姿端麗な近藤に、若かった菜穂は男性的な魅力を十分に感じていた。

何回か2人で食事に行った事もあったし、このまま近藤さんと付き合ってもいいかもとさえ思っていたのだ。

しかし、ある日2人でとあるバーでお酒を飲んだ後の事だ。近藤は酔った菜穂をホテルに連れ込もうとしたのだ。まだ付き合ってもいないのに。

もちろん大人の男女が2人でお酒を飲めば、そういう流れになるのはあり得る事だ。

だが近藤は強引だった。

菜穂は乗り気ではなく「今日はもう帰らないと」と伝えたにも関わらず、近藤は手を引っ張るようしてホテルの中に連れ込んだ。

そんな近藤の事が菜穂は急に怖くなって、近藤がシャワーを浴びている間にホテルから逃げ出したのだ。

後日近藤は謝ってきたが、その時には菜穂の気持ちは完全に冷めきってしまっていた。

そしてその後近藤には告白されたものの、その時の印象が強く残ってしまっていて、結局菜穂はお付き合いを断ったのだ。

その時、近藤には「どうしてなんだ!?どうして俺じゃ駄目なんだ!?」と強い口調で言われたのを覚えている。

だから正直菜穂は、智明と結婚した自分の事を、近藤は快く思っていないのではないかと考えていた。

しかしそれは自分の思い違いだったみたいだと、菜穂は今感じていた。

過去に恋愛関係では色々あったけれど、智明と近藤さんは良き友達であり、本当は近藤さんは優しくて良い人なんだと。


「それでね菜穂ちゃん、そのお願いなんだけど、実は今度うちの会社で社員旅行があるんだけどさ、それに菜穂ちゃんも参加してほしいんだよね。」


「社員旅行……?」

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