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喰われる人妻 菜穂
第46章 喰われる人妻 菜穂(46)

「もしもし、菜穂?どうした?」


『……ん…はァ……』


「ん?菜穂?」


『……ご、ごめん、智明。』


『どうした?何かあったのか?』


電話越しの菜穂に急に謝られて少し驚く智明。


『……智明、近藤さんから聞いたんだけど……今日定時なんだよね……?』


「あぁ、そうだよ、だから今日は家族で久しぶりに晩御飯を」


『ごめん智明……あのね、子供を迎えに行ってほしいの。』


「え?菜穂はまだ家じゃないの?」


『……うん、まだ仕事があって……』


「まだ仕事?4時か5時には終わるって言ってなかったっけ?」


『そうなんだけど、やっぱり初日は色々と覚えないといけない事があって……もうちょっと時間が掛かりそうなの……だから……』


「そうか、大変だな……分かった、幼稚園には俺が迎えに行くよ。」


『うん、ごめんね。』


「そんな謝ることないよ、夫婦なんだからこういう事は協力してやってかないと。菜穂もこの前俺にそう言ったろ?」


『……うん…ンァ…ハァ……ダメ……』


「え?」


『……う、ううん!……ハァ、なんでもない……じゃあ子供達の事…お願いね』


「ああ、子供達と家で待ってるよ。」


『うん……ハァ…じゃあ後で…』


ブツンッ……プープ―……


「菜穂っ……あ~切れちゃったか。」


智明は電話越しの菜穂の声が少し疲れているように感じていたが、それを聞く前に電話は切れてしまった。


――軽い雑用をさせられるだけかと思ってたけど、秘書の仕事も結構忙しいのかもな。帰ってきたら菜穂に聞いて、あんまり大変そうだったら近藤に相談してみよう――


そんな事を考えながら智明は会社を出て駅へと向かった。

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