この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喰われる人妻 菜穂
第46章 喰われる人妻 菜穂(46)
「もしもし、菜穂?どうした?」
『……ん…はァ……』
「ん?菜穂?」
『……ご、ごめん、智明。』
『どうした?何かあったのか?』
電話越しの菜穂に急に謝られて少し驚く智明。
『……智明、近藤さんから聞いたんだけど……今日定時なんだよね……?』
「あぁ、そうだよ、だから今日は家族で久しぶりに晩御飯を」
『ごめん智明……あのね、子供を迎えに行ってほしいの。』
「え?菜穂はまだ家じゃないの?」
『……うん、まだ仕事があって……』
「まだ仕事?4時か5時には終わるって言ってなかったっけ?」
『そうなんだけど、やっぱり初日は色々と覚えないといけない事があって……もうちょっと時間が掛かりそうなの……だから……』
「そうか、大変だな……分かった、幼稚園には俺が迎えに行くよ。」
『うん、ごめんね。』
「そんな謝ることないよ、夫婦なんだからこういう事は協力してやってかないと。菜穂もこの前俺にそう言ったろ?」
『……うん…ンァ…ハァ……ダメ……』
「え?」
『……う、ううん!……ハァ、なんでもない……じゃあ子供達の事…お願いね』
「ああ、子供達と家で待ってるよ。」
『うん……ハァ…じゃあ後で…』
ブツンッ……プープ―……
「菜穂っ……あ~切れちゃったか。」
智明は電話越しの菜穂の声が少し疲れているように感じていたが、それを聞く前に電話は切れてしまった。
――軽い雑用をさせられるだけかと思ってたけど、秘書の仕事も結構忙しいのかもな。帰ってきたら菜穂に聞いて、あんまり大変そうだったら近藤に相談してみよう――
そんな事を考えながら智明は会社を出て駅へと向かった。