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喰われる人妻 菜穂
第47章 喰われる人妻 菜穂(完)
「菜穂、ちょっと話したい事があるんだけど、今いいかな?」
ある日の夜、家で智明は菜穂にそう声を掛けて話し始めた。
「菜穂の仕事の事なんだけどさ、最近ちょっと働き過ぎじゃないか?」
「……」
「なんとなく元気がないようにも見えるし、疲れてるのかなぁって、ちょっと心配でさ。」
「……そんな事ないわ。大丈夫よ、心配しないで。」
「本当に?それに菜穂さ、最近ちょっと痩せたんじゃないか?秘書の仕事で何かストレスが溜まるようなことやらされてるんじゃ……」
「ううん、そんな事ないし、ストレスはないわ。天野部長は本当に私に良くしてくださってるの。それに働き始めて分かったんだけど、私、専業主婦よりも外に出てた方が気持ち的には楽みたいなの。」
「そ、そうか……でもさ……」
「智明は私に家に居てほしいの?正直私、家に籠りっぱなしじゃ腐っちゃいそうなのよ。」
どこか機嫌が悪いような菜穂の言い方に、智明は慌てて笑顔を作ってフォローを入れた。
「いや働くのは全然良いんだよ。菜穂がそんなに今の仕事に遣り甲斐を感じているなら尚更。でもさ、出勤日数が多すぎやしないか?ほら、最初は週に3日くらいって話だったろ?それが最近は毎日じゃないか。」
「……。」
「それにさ、最近晩御飯も惣菜屋で買ってきたものばかりだろ?ほら、菜穂は料理が好きだったじゃないか。子供達にもさ、やっぱり母親の温かい料理を食べさせた方がいいじゃないかな。」
「……それは……仕方ないじゃない……今の世の中そんな家庭は沢山あるわ。
ねぇ智明、これから景気がどうなるか分からないし、また前の会社みたいな事になる可能性だってゼロじゃないと思うの。家のローンだけじゃなくて、子供達はまだ小さいし、大学卒業までは沢山お金が掛かるわ。だから私も働ける職がある内に沢山働いておいた方が良いと思うのよ。」
「ま、まぁ、それはそうだけどさ……」
「私……先が見えない、あんな辛い想いはもうしたくないの。智明だってそうでしょう?」
「菜穂……」