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喰われる人妻 菜穂
第7章 喰われる人妻 菜穂(7)

「智明……大丈夫?」


吐き出したものの、すでにアルコールがかなり回ってしまったのか、返事もできない程グッタリしている智明。

そんな智明の背中を菜穂は心配そうに擦っていた。


「あの人毎回新人に一気飲みさせるからなぁ、困ったもんだよ。おい小溝、もう全部出したか?」


そう言って再び智明の身体を起こそうとする近藤。


「じゃあ菜穂ちゃん、俺が小溝を部屋に連れて行くから。たぶん寝たらそのまま朝まで起きないと思うし。」


「そうですよね、じゃあ私も一緒に」


「いや、ここは俺に任せて、菜穂ちゃんは天野部長の所に戻った方がいいよ。あと、お偉いさん達にも一応謝っておいた方がいいかもね。」


「ぇ……あ、はい……。」


「それと菜穂ちゃん、1つだけ忠告しておくよ。天野部長やその周辺の人達はちょっとした事で不機嫌になりやすいタイプの人が多いから、あの人達の言う事はちゃんと聞いて、少しくらい嫌な事があっても逆らわない方がいいよ。もし機嫌を損なうような事になったら、本採用の話は確実になくなると思いな。分かるよね?」


「……は、はい……分かりました。」


「よし、じゃあ頑張ってな。これも智明のためだ。」


「はい。近藤さん、本当にありがとうございます。」


「いいんだよ、ほらもう戻りな。あんまり待たすと天野部長の機嫌が悪くなっちゃうよ。」


「はい。では智明を宜しくお願いします。」


そう言って菜穂は近藤の優しさに感謝しつつ、宴会場へと戻っていった。

しかしそんな菜穂の背中を眺めながら、近藤は表情を変えてニヤっと怪しい笑みを浮かべていた。


「フッ、まぁ今夜は大変だと思うが、精々頑張れよ菜穂ちゃん。」
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