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喰われる人妻 菜穂
第9章 喰われる人妻 菜穂(9)
当たり前だが、菜穂は嫌だった。
これがOL時代で自分の上司相手だったら100%断っている。
天野は大丈夫という言葉を何度も使っているけれど、やはり信用できなかった。
2人きりになれば、またバスの時のように髪や身体を触られるようなセクハラをされるかもしれない。
菜穂の不安は大きかった。
だが今回は事が事だけに……。
菜穂はさっき近藤に言われた言葉を思い出した。
〝もし天野部長の機嫌を損なうような事になったら、本採用の話は確実になくなると思いな。分かるよね?〟
そんな事態だけは絶対に避けなければいけない。
菜穂に選択肢はなかった。
「分かり……ました。」
「おぉ、じゃあ来てくれるんですね?」
「……はい。」
菜穂は俯き加減でそう返事をした。
「ハハッ、そうか、嬉しいなぁ。よし、じゃあ行こうか。実は女将に美味しい酒を運んでもらっているんですよ、今後の話をしがてら一緒に飲みましょう。」
そう言って天野は菜穂の肩に手を回した。
良い気になった天野にさっそく身体を触られ、菜穂の背中に寒気が走る。
……もう少し、もう少しだけの我慢よ……これも智明のため、家族の未来のためなんだから。