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喰われる人妻 菜穂
第2章 喰われる人妻 菜穂(2)
智明と近藤は同期だったとはいえ、実は元々そんなに仲が良い訳ではなかった。

入社当時こそ、よく一緒に飲みに行ったものだが、2年3年経つにつれ、そういう機会は減っていった。

と言うのも、智明は上司には可愛がられ、後輩にも慕われるタイプであったのに対し、近藤はその逆で、遅刻が多かったり、仕事の期限を守れなかったりと、上司からの信頼も薄く、その割に後輩には大きな態度を取っていたので嫌われていた。

そんな社内で智明が次々と昇進していく中、近藤はすっかり置いてきぼりを食い、社内で邪魔者扱いされてしまっていたのだ。

だから元々プライドだけは高い性格だった近藤は、同期の智明に尋常じゃない程の嫉妬を抱いていた。

そしてそんな中、そのプライドをさらにズタズタに破壊される出来事が起きた。

智明と菜穂の結婚だ。


同じ業界の関連企業に勤めていた菜穂に、先に目を付けていたのは近藤の方だった。

菜穂は透明感のある清楚なタイプの美人で、それでいて出しゃばったりしない控えめな性格で、近藤は菜穂と少し会話しただけでその優しげな笑顔に心奪われてしまったのだ。

整った顔立ちと高身長のスタイルを持ち合わせていた近藤は、学生時代から女には不自由してこなかった。

だから当然菜穂も自分のものにする自信があった。

しかし、菜穂からの返事はNOだった。やんわり「ごめんなさい」と。

何度か食事にも誘い、手応えはあった。もうすぐ俺のものになるぞと、確信していた。

それなのに、なぜだ。理解できなかった。

近藤にとって、女性に振られたのはそれが人生で初めての事であった。

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