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喰われる人妻 菜穂
第26章 喰われる人妻 菜穂(26)

夫の採用欲しさ、生活の安定の欲しさに負けて、天野に身体を捧げてしまった菜穂。

家族のためだと、自分に言い聞かせて、嫌々始めた性行為だった。

それなのに、菜穂はセックスの快楽に呑まれてしまった。

我を見失い、そして挙句の果てには天野の前で自らあられもない言葉を発してしまった。


〝ハァン、ああんっ!オマンコ気持ちイイ……ああ……本当にスゴイ……ああっ!イクっ!イッちゃう!〟


自分で自分が信じられかった。

どうしてあんな事をしてしまったのか。

どうしてあんな男相手に感じてしまったのか。

どうしてあんなに淫らな気持ちになってしまったのか。

自分の弱い心と、女としての身体が憎くて仕方なかった。



「おい小溝ぉ、昨日は大変だったな。お前を部屋まで運んだの誰だか知ってるか?」


バスの前で2人に声を掛けてきたのは近藤だった。

近藤の表情は2人とは真逆で、妙に明るかった。


「菜穂から聞いたよ、近藤が色々と世話をしてくれたって。本当に申し訳ない、何から何まで。」


「ハハッ、気にするなよ。昨日のことはお前に非は無いしな。それに謝るなら菜穂ちゃんに謝っとけよ、昨日小溝が居なくなってからずっと部長達の相手をしていたのは菜穂ちゃんなんだから。」


「そうだったんだな。菜穂、本当にごめんな。」


「……。」


「菜穂ちゃん昨日はあれから問題無かった?」


「ぇ……は、はい。」


「そうか、それなら良かった。俺も幹事で忙しかったからさ、もっと菜穂ちゃんをフォローしてあげたったんだけど、暇がなくてさ。」


近藤の優しげな言葉を聞いて、菜穂は後悔していた。

昨日天野の部屋へ行く前に、近藤に一言相談していれば、あんな事にはならなかったかもしれないと。


――近藤さんなら、きっと助けてくれた……それなのに、どうして冷静な判断ができなかったのかしら……――


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