この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喰われる人妻 菜穂
第30章 喰われる人妻 菜穂(30)
ようやくバスが到着し、社員達が続々とバスを降りていく。
そんな中、菜穂は天野に肩を抱かれるようにして出て来た。
もちろんすでに衣服は身に着けていたが、足元が覚束ない。
数分前に快感絶頂に達したばかりの菜穂の身体は、まだその余韻から冷めていなかった。
腰が抜けてしまったようにガクガクと震え、立っているのもやっとの状態。
そんな菜穂を見つけて、夫の智明が心配そうに声を掛けてきた。
「お、おい菜穂、どうしたんだ?」
「ハハッ、小溝君心配ないよ、奥さんは少し車酔いしてしまったみたいでね。大丈夫、外の空気を吸えばすぐに良くなるさ。」
「そ、そうですか。」
どうやらバスの一番後ろの席に座っていた智明は、菜穂に何があったのか、全く気付いていなかったようだ。
「すみません運転手さん、お茶をこぼしちゃったみたいで、席が少しが汚れてしまったんですが。」
「え、あ~ハハッ……大丈夫ですよ、私が後で掃除しますんで。」
天野は菜穂を智明に返すと、運転手とニヤニヤと笑いながら会話をしていた。
社員の中にも、何人かあの行為に気付いていた者達は菜穂の方にチラチラと視線を向けていた。
しかし菜穂が智明の妻だという事は、ここにいる全員が知っている事だ。
それにも拘わらず、菜穂が天野に辱められている事に気付いていた者達が皆、口を出すことをもせずに、見て見ぬふりをしていたのは、天野がこの会社の社長の息子であるからだ。
天野部長のやっている事に、文句の一つでも付けてしまえば、自分の立場がどうなってしまうのか、社員達は皆よく知っているのだ。