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喰われる人妻 菜穂
第31章 喰われる人妻 菜穂(31)
早朝、菜穂は家族のために1人早起きして朝食を作り、夫のネクタイやカッターシャツを用意する。

そして夫と子供達を起こし、家族皆で一緒に朝食を食べる。


「ほら、お腹空いてなくても朝ごはんはしっかり食べなきゃ駄目よ。一日のエネルギーになるんだから。」


食卓の席に座ってもまだ眠そうな子供達。

でも夜は、まだ夫の帰りが遅い日が多い事もあって、一緒に食べられないから、一日の内で一家団欒を楽しめるのは、この朝食の時だけなのだ。

そして時間になれば、まずは最初に仕事に向かう夫の智明を見送る。


「今日もちょっと遅くなるかも。」


「うん、ご飯用意して待ってるから。」


「あぁ、じゃあ菜穂、行ってくるよ。」


「いってらっしゃい、気を付けてね。」


夫を送った次は、小学校に上がったばかりの長男だ。


「忘れも物ない?昨日やった宿題ちゃんとカバンに入れた?」


「うん。」


下に弟ができて、最近は兄としての自覚も芽生えてきたのか、長男は随分としっかりしてきた。


「じゃあ車に気を付けてね。」


「うん、行ってきまーす。」


「いってらっしゃい。」


そして最後は幼稚園に通っている次男。

送迎バスが来るまで2人で家の前で待つ。

次男はまだ甘えん坊さんだから、家から出る時よく母親の菜穂から離れたくないと言って泣いてしまうのだが、今日はそんな事はなかった。なんでも最近幼稚園でとても仲の良い友達ができたのだとか。

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