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兄と妹の暑い夏
第6章 花凜、決意を固める
 そう言って再び視線をそらす俊次を見て、長い付き合いから花凜はこの発言が照れ隠しによるものだとはっきり見抜いていた。

 花凜はほとばしる気持ちが抑えきれず思い切って言った。

「じゃあお兄ちゃん、この後お部屋で私を抱いて」




 俊次がハッと息を呑むのが花凜には分かった。

 瞬時に後悔が花凜の脳裏をかすめる。

 いきなりこんなことを言われたのではさすがに軽蔑されるんじゃないか、という考えが花凜の頭の中をぐるぐる回った。

 かと言って、抱いてほしいということは嘘でも何でもないわけなので、自ら否定してしまっては機会は永遠に失われる気がした。

 花凜は次の言葉を必死に探す。



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