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虹の彼方で
第15章 5月ラストの通り雨
(お風呂に、入りたいよー!)
濡れた手で、玄関の鍵を開けて安全地帯に入り込むと、
とりあえず、カバンとパンの袋を廊下のマットの上に置いて。
それから、私は、どうやって中に入るべきか、ちょっと悩んだ。
どうしよ…。
このまま入ったら、廊下びしょ濡れになるけど……。
あ、でもタオルくらいなら、取れるかな?
意を決して靴を脱ぎ、濡れてまとわりつく靴下だけ、その場で脱ぐと、絞って水気を切ってから、髪の毛も軽く絞って……。
「あれ? 美咲ちゃん?」
ブレザーを脱いで、腕に抱えたところで、不意に上の方から声がかかった。
見上げれば、階段の上から、ジョニーさんが降りてくるところだった。
天の助け…!
「お帰り! あ、雨、降られちゃった?」
途中から急ぎ足で降りてきたジョニーさんは、「待ってて」と声だけかけて、洗濯機のおかれた大きなランドリースペースからバスタオルを持って戻ってきてくれる。
「酷い雨だったでしょ。平気?」
「だめでした…。もう、凄い濡れちゃって」
苦笑する私に、玄関のライトを付けたジョニーさんが、バスタオルを差し出して。
ん?
その視線が、不意に、はっとしてから、素早くそらされる。
「ジョニーさん?」
「うん……、その、美咲ちゃん。シャツが……」
「え? わっ……!」
白シャツの下の淡いオレンジの下着が、普段なら見えないのに、濡れて布が張り付いたせいか、くっきり丸見えになってる……!
「あ、ごめんなさい」
「いや。……僕こそ、ごめんね。あ、カバン、拭いておこっか。あと……これ?」
「パンです。帰りがけに、ちょっと寄り道してパンを買ってきて……」
「分かった。じゃ、これも拭いて、……リビングに持っていくね」
「はい」
バスタオルを胸の前にかかげて、前髪を拭いてる私に微笑むと、濡れた荷物を抱えて、ジョニーさんは居間へと移動した。
私も適当に身体を拭いてから、バスタオルを服の上から巻きつけて、
一度2階にあがると、部屋着と下着を手にして、
少し迷ってから、1階に戻る。