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虹の彼方で
第15章 5月ラストの通り雨
居間に入ると、パンの外袋を布巾で綺麗に拭いているジョニーさんと目があった。
私は軽く会釈しながら、キッチンの横の、お風呂に繋がる扉を指差す。
「あの、今って、お風呂、借りれます? 脱衣所、広い方を使いたくて……」
「もちろん。今は、まだ僕以外、誰も帰ってきてないから、自由に使って大丈夫」
優しく笑ってくれたジョニーさんに、ほっとして私も笑みが溢れる。
「ありがとうございます」
お礼を言ってから脱衣スペースに入ると、手にしていた綺麗なバスタオルと着替えを脱衣かごに置き、洗濯できるものと、一旦乾かすしか無いもの(ブレザー・スカート)を分けながら脱いでいく。
トントン―――☆
え?
「美咲ちゃん。開けないから、ちょっと確認していい?」
「あ、はい!」
下着を脱ぐ寸前に聞こえたノック音に、動きを止めかけた私は、ちょっと安心して、鍵を締めているか再確認してから、下着も脱いでいく。
「制服の上下、そのまま乾かすと布地が痛むから、水洗いして乾燥機かけようか?」
「え…、いいんですか?!」
「うん。早めに干せば、明日の朝にも間に合うだろうし、シャワー室の換気扇つけて吊るしておけば、いけると思うから。どうかな?」
「お、お願いします……!」
「じゃあ、鍵を開けて、浴室に入っててくれる? 後で取るから」
「ありがとうございます! ジョニーさん!」
知ってた。
ジョニーさんが、イケメン対応なのは、知っていました。
それにしたって……イケメンすぎるでしょ!
浴槽にお湯を貯めながら、ゆっくりお風呂に入る。
ほんとは、早くジョニーさんにお礼を言いたかったのだけど、冷たい雨に身体の芯まで冷えてしまっていたから、ゆずの入浴剤を使って、じんわり温まらせてもらった。
指先まで温もってから、やっとお風呂を出ると、脱いでおいた制服は既に回収されている。
乾いたバスタオルで髪を拭きながら、靴下やシャツを雨水を吸った方のバスタオルでくるむと、そのまま浴室を出て。
リビングに人の気配が無かったから、すんなりランドリースペースへ行こうとして、ふっと足が止まった。
あれ?
ソファに、誰か寝てる?