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虹の彼方で
第15章 5月ラストの通り雨
持っていた洗濯物を洗濯機の中に放り込んで、
戻ってきたら……、
やっぱり、ソファでうたた寝してるのは、ジョニーさんだった。
片方の肘掛けを枕にして、長い足を反対の肘掛けに引っ掛けながら、
凄い気持ちよさそうに眠ってる。
規則正しい吐息に合わせて、灰色のニットを着た胸元が、ゆっくり上下してて。
眠りの森に王子様が眠ってたら、きっと、こんな感じ。
なんだか引き寄せられるように、傍にぺたりと座り込むと、ちょっと寝顔を見つめてしまう。
綺麗な鼻筋とか、薄く淡い色の唇とか、かっこいいんだ。
それに眼鏡の奥の瞳も、とっても優しいし温かいのを私は知ってる。
(あ……)
眼鏡、したまま寝ちゃったんだ……。
外してあげよう…と、そっと、フレームに手を伸ばして、ゆっくり引き抜く。
折りたたんで、ガラスのローテーブルにコト…と置いた時。
「ん」
あ、起こしちゃった……!?
はっとして振り返った視線が、薄っすら開かれた、ジョニーさんの瞳と絡まった。
直後、長い腕が、私の腕の下に回り込んで。
「え?」
「……美咲」
はい?
引き寄せられて、顔が近づいたと思ったら、名前を呼ばれたから、私、何かあったのかと瞬くしか出来なくて。
そのまま反対の手に後頭部を抱えられて、唇が重なった時は、
ちょっと、何がおきたか、すぐ把握できなかった……。
「ん……、ぁ」
逃れようと力を入れると、それ以上の力で引き寄せられて。
寝起きで、ゆったり絡まってきた舌は、徐々に熱くなると、口腔を探っては
歯列の裏を擽ったりしはじめる。
(え……、え? なんで? ジョニーさん……!?)
「んっ……ふ、ぅ、……アッ」
仰向けに寝てるジョニーさんに、まるで覆いかぶさるみたいで、
遠巻きに見たら、まるで私が彼にしがみついて、ねだってるみたいな格好。
でも、抗おうとしては、舌先を吸われて、唇を甘く噛まれて、
ソファに寄り添ったまま、腰が抜けかけた私は、
気づいたら、彼の顔に片手を添えてしまってた……。