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虹の彼方で
第2章 イケメンお兄さん

手を出して、お兄さんを見上げたら、お兄さんがチューブ型の薬を自分の右手人差し指に出してるところで。

目が合って。

お互いに、一瞬、固まっちゃった。

「あ、……そっか」

「え、あ、すみません」

「いや……、僕が、ちょっと、うっかりしてた」

うん。

流石に、出会ったばかりの人に脛を撫でられるとか、だめでしょ。

照れくさいし、しかも、こんなイケメン、あかん。いかん。触るな危険!

どうしようかなって思ってたら、空中に浮かんだままの右手首を柔らかく掴まれて、そっと人差し指に人差し指が撫で付けられた。

「……!」

「はい、これ。薬。優しく塗ってね」

言葉通り優しく語りかけてくれるお兄さんは、なんというか、その、無自覚ここに極まれりという感じで、むしろ本当に困る。

手首に触れたお兄さんの手の温かさとか、指先同士の擦れた感触とか、お兄さんの声とか、一気に照れくさくなって、ふわっと体温が上がった気がした。

咄嗟に俯いて肩までのストレートヘアで顔を隠す。

「は、はい。優しく塗ります」

オウムみたいに繰り返しながら、脛に薬を塗る私の手は、ちょっとだけ震えてた。

はぁ、ドキドキした。

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