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虹の彼方で
第18章 7色の夜

「美咲ちゃん。うちの、"クルール"の意味、知ってる?」

「……いえ」

「フランス語で"色"っていう意味なんだよ」

「色?」



私達の会話をよそに、翼が、ローテーブルに置かれてた角砂糖の蓋をあけて、タクミの飲み物に入れようとしてる。

「よせ」って牽制するタクミに、ちょっかいだして遊んでる。

なんか、こう見てると兄弟みたい……。



仲良しなんだろうな…って思いながら、私はジョニーさんの言葉に耳を傾けた。

「このシェアハウスには個室が7部屋ある。それぞれの部屋に誰かが入って、その部屋を自分の色に染める。そうすると、7色の部屋が出来上がる」

「7色……」

「うん。7色って、何だと思う?」

「なな……、あ、虹?」

「そう。だからね、"この家に7色が揃ったら、虹が出来上がるな"って、これもマサさんの言葉」

「……えぇ!?」

「もう、よせっての……」

想像以上にロマンチストな発言に、驚くタイミングさえ、遅れちゃった!

マサさんは、苦笑いしながら顔の前で虫を払うみたいに、ひらひらと手を振ってる。

けど、その態度が、より一層、嘘じゃないのを証明してて……。

「なんか、……マサさん、凄いギャップですね」

「言ったな、てめぇ」

「ひゃっ……、あ、ははははは」

ペロッと溢れた本音に、マサさんが私を睨んだかと思うと、脇腹をくすぐりだす。

あ、だめだめ、麦茶こぼれるー!

と、その麦茶グラスを、横からひょいと避難させつつ、ジョニーさんが眉を持ち上げる。

「マサさん。うちの紅一点を虐めたら駄目ですよ」

「ははははは。なんだ、ジョニー、とうとうお前も一肌脱ぐか?」

「僕じゃなくて、そこの2人が」

え……。

言われて気づいたら、タクミが、何だか少し尖った視線でマサさんを見てた。

翼……は、うん、仲間にはいってじゃれたいのかな?

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