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虹の彼方で
第3章 金髪男とひまわり君
意地の悪い言い方に、胸がズキッと痛んだ。
なにそれ、そんな言い方、……怖くなんか、ないんだから。
知らずに身体の横で拳をキュッと握ると、小さく息を吸う。
「年は……、関係ないんじゃ、ないですか……?!」
「は?」
「それに、部屋に鍵がかかるなら、何かあれば声だって出すし、一晩くらい……!」
言い返す度に、心臓がドクドク言って、手が震える。
私の視線の先で、金髪の男の人の目が、どんどん細くなってナイフみたいになっていく。
なんで、そんなに、敵意むき出しで、こっちを見るの?
「私、子供じゃない……です…」
言い切った瞬間だった。
その人は、急に大股で近寄ってくると、目を丸くして強張る私の両肩を大きな手のひらでガッと掴み、足を引っ掛けてソファに押し倒した。
あっという間に視界が反転していて……!
はっとして声を上げかけた瞬間、口元を手のひらで塞がれて、心臓が強く胸を叩いた。
「……ッ!」
「タクミ!!」
「おーおー、子供じゃないって言ってたお嬢さんよぉ。これで、どうやって抵抗すんだ。あ?」
タクミと呼ばれた人は、一瞬顔をあげて、城西さんに「手出すな」と低く言うと、そのまま顔を私の耳元に寄せてくる。
「男の力ってのは、こういうもんなんだよ。分かるか?」
「……ンッ、ンー………!」
「"声が出せる"……、はっ、笑わせんなよ。男が本気だしたら、女は逃げらんないの」
覆いかぶさってきた男の人は、私の足の間に挟ませた片足をずるっと上に動かした。
太ももに触れた他人の体温に、反射的に身体がビクつく。
悔しくて恥ずかしくて涙が目に浮かぶのに、パニックで、もがくことさえ出来なくて、身体は小さく震えるだけで。
「……ったく、何が子供じゃない、だ。乳くせーどころか、ケツも青いお子ちゃまじゃねーか」
その人は、皮肉っぽく笑って私を解放したけれど、
私は、
笑うことなんて出来なくて、顔を両手で隠しすことしかできなくて。
バタンという扉の音と、あらっぽい足音が二階へ消えていっても、身体を起こせずにソファに仰向けになったまま、顔を手で覆って、私は、泣いてしまってた。