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虹の彼方で
第4章 ディナータイム
「ま、なんでもいーわ。後は皆さんでお話し合いしてくださいマセ。
俺は、部屋戻る」
金髪男の、その言葉に、隠しきれない安堵が、溜息で漏れる。
と、それを見咎めたのか、男はテーブルから去り際に私の方へ振り返った。
なんとなく動きを見送ってしまってたから、視線がぶつかってしまい、胸がドクッと震える。
「おい、赤ずきん。言っとくけどな、そこのテーブル囲んでる奴ら、全員、狼だぞ」
「……!」
目を丸くした私に、ニコリともせず、冷たい顔のまま、金髪男は部屋を出ていった。
残された私達の間に、妙な沈黙が降りる中、双子くんの片方だけが、特に気にする様子もなくサラダを食べる音がする。
「ったく、あいつは……。素直に"美咲が心配だ"って言えばいいのになぁ」
不意に笑い混じりに告げた内田さんの言葉に、城西さんが静かに息を吐いて肩をすくめる。
その肩をねぎらうように叩きながら、内田さんがククッと喉を鳴らして笑った。
内田さんは、なんというか、豪快な感じがする人だ。
「タクミは、ありゃ、なんだ? 反抗期か?」
「だとしたら、すげー遅いでしょ」
翼が内田さんに突っ込みながら食事に戻り、双子くんの片割れは麦茶のボトルを引き寄せて、自分と同じ顔の男の子のグラスを満たしてる。
「ジョニー。後でフォローしといてくれ」
「分かってます」
「え? じょ、にい?」
内田さんと城西さんの会話に、思わず声を上げると、向かいの双子君がフォローしてくれた。
「城西さん、と呼ぶのは呼びにくいので、マサさんは城西さんをジョニーと呼ぶんです」
へ、へぇ……。
なんか、コードネームっぽい呼び方!
っていうか、今教えてくれた双子君、夏樹君、だよね?
さっき私に冷たく笑ったように見えたのだけど、気のせい?
「美咲ちゃんも、ジョニーって呼んで構わないよ?」
「や、流石に、それは……」
「呼べばいいじゃん。気ぃ遣わずにさー」
翼がおかわりのために立ち上がりながら、私に笑いかける。
「じゃ、じゃあ……、ジョニーさん、で」
「うん」