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虹の彼方で
第11章 日曜の夜



バタン―――☆



「え?」



「あ……!」



今、何か"バタン"って……?

ドアの音……、だよね?

恐る恐る、片足だちのまま振り向いて、そこで固まってる翼の姿に、身体中がカーッと熱くなった。

「な、な、な、な、な……!」

「う、ああああ! ご、ごめんッ……!!」

慌てて立ち上がった途端に、スカート踏みつけた!

でも、そんなことより、下着姿を見られたことが恥ずかしくて、バッと胸元を両腕で隠す。

真っ赤になった翼が、焦ったようにドアを締めたけど、や、赤くなりたいの、私だから!

「ごめん! ごめん!ごめん! マジ、ごめん!」

壊れた機械みたいに何度も同じことを言い出す翼に、とにかくシャツに腕を通して、急いでスカートに足を通す。

「だ、……大丈夫、だけど……、何!? どしたの!?」

「や、その……、美咲が、ヤス兄に英語教わるって聞いたから、俺も1時間くらい、一緒にって、思った、んだけ、ど……」

「あ、……そ、っか。……てか、翼」

「うん」

「の、ノック、してよ」

「あ、そ、そう、だよな。わるい……、ごめん」

「うん」

これさ、次に、どんな顔して会えばいいの?

夕飯食べ終わってて、本当、良かった。

今日、このテンションで食事したら、私、多分、サラダにソースかけて、トンカツにマヨネーズかけて、ご飯にケチャップかけてる……!

「悪い、……。出直す、わ」

「う、うん。……そだね」

「今度は、その、ノック……する」

「うん」

扉越しに気まずい会話を済ませると、一瞬鍵をかけようか迷って、

でも、やっぱり寝る前だけにしようって思って、鍵に伸ばした手を止めた。

その手でシャツのボタンを止めながら、姿見の前に移動すると、一旦、深呼吸して目をとじる。



翼のバカ、翼のバカ、翼のバカ。



3回唱えてから、心頭滅却して、色んな事を忘れようと大きく頷き、目を開く。

ネクタイを巻いて、最後に靴下。

シャツをスカートの中にいれて、ちょっと丈の長い薄手のニットをあわせると、そこそこ可愛い女子高生テイストが出来上がる。

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